社還米(読み)しゃかんまい(英語表記)Sahwanmi

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「社還米」の意味・わかりやすい解説

社還米
しゃかんまい
Sahwanmi

朝鮮朝鮮王朝 (李朝) で行われた還穀 (義倉米 ) 制。朝鮮の還穀制は本来中国の制度にならったもので,古くから行われていた。すなわちそれは貧民に対する救済物価の安定を目標として国家財政の一部である官穀を「春貸秋納」するものであるが,次第に本来の目標を逸脱して高利貸的収奪の性格を強くもつようになった。そこで高宗 32 (1895) 年,「社還条令」を発布して在来の還穀を社還米と改称して還穀の方法を一種の半官半民制として合理化をはかった。この方法は一見在来の非を正したようにみえるが,事実は朝鮮王朝末期における国家財政の確立農民懐柔がその目的であったとされている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の社還米の言及

【還穀】より

…これに抵抗する民衆は1862年に一斉蜂起した(壬戌(じんじゆつ)民乱)。このように〈還穀〉の弊害面が肥大化したため,1867年〈社倉〉を復活し,95年〈社還米〉と改称して利率を引き下げた。しかし弊害はそれでも収まらず,1917年〈還穀〉は朝鮮総督府により廃止された。…

※「社還米」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

大臣政務官

各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...

大臣政務官の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android