神妃思想(読み)しんひしそう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「神妃思想」の意味・わかりやすい解説

神妃思想
しんひしそう

シャクティ (性力) を女神として表現し,神々の神妃として活躍させるヒンドゥー教のうちのシャクティ派の根本思想。ビシュヌラクシュミー,ブラフマーにサラスバティーシバウマー,パールバティー,ガウリー,ドゥルガーカーリーなどを配する。シバの神妃ウマーは温和な性質の女神でシバとともにミトゥナを形成し,ドゥルガーは活動的な破壊力を有して神々や人間を悩ます悪魔を退治するなど,いずれもヒンドゥー教美術の主題となっている。ビシュヌの神妃ラクシュミーは幸運と美の神,ブラフマーの神妃サラスバティーは学問の神として民衆崇拝を受けている。特に前者は乳海攪拌によって生れ,聖なる巨象たちによってガンジス川の聖水を注がれたとされ,この象による灌頂もヒンドゥー教美術の格好のテーマとなっている。のちにこれらの神妃は仏教に取入れられてサラスバティーが弁財天,ラクシュミーが吉祥天,ウマーが聖観音,ドゥルガーが千手観音,十一面観音,如意輪観音などとなった。

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