禁闕の変(読み)きんけつのへん

改訂新版 世界大百科事典 「禁闕の変」の意味・わかりやすい解説

禁闕の変 (きんけつのへん)

1443年(嘉吉3)9月,南朝遺臣日野有光が神器を奪った事件。有光は将軍足利義勝の早世など嘉吉の乱後の幕府権力の動揺につけこみ,後南朝尊秀王と通じて内裏禁闕)に侵入して放火し,神璽,宝剣を奪って比叡山に立てこもった。しかし管領畠山持国や延暦寺僧兵に攻められ,尊秀王や子息資親らとともに殺された。この事件の意義はむしろ,後に小寺氏などの赤松氏遺臣たちがこの神璽を奪還することにより,赤松惣領家再興契機とした点にある。すなわち1458年(長禄2)小寺道性以下の赤松遺臣は,赤松氏縁故の三条実量などと計り,吉野山中深くに潜入してこの神璽の奪還に成功したのである。この功により,満祐弟義雅を祖父とする次郎法師丸(政則)は加賀半国守護職を与えられて再興を遂げた。この赤松氏再興の背景には,幕府内部で山名宗全(持豊)と勢力を競い始めた細川勝元の支援もあずかって力あったのである。
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