大学事典 「私学補助」の解説
私学補助
しがくほじょ
日本国憲法89条は,宗教団体や公的ではない慈善,教育,博愛事業への公金支出を禁じている。しかし教育基本法4条は国民の教育機会等を定め,8条では国および地方公共団体が私立学校(私学補助)教育の振興に努めることを規定している。また私立学校法59条では,国・地方公共団体が学校法人に対して助成することを認めている。さらに私立学校振興助成法は,より具体的な国・地方公共団体の私立学校への助成について定めている。私学補助というと私学の経常費補助が一般的であるが,補助にはさまざまな方法がある。学校法人が設置する私立学校はその公共性,公益性によって,法人税・事業税は学校法人の行う収益事業のみに課税され,教育のために取得する不動産取得税,固定資産税は非課税とされている。また学校法人に対する寄付者へのさまざまな免税措置を講ずることによる助成もある。日本学生支援機構の奨学金は,私立大学の学生を通じて私学を補助していることになる。大学進学者を対象にした所得の特別扶養控除によって大学進学が奨励され,間接的に私学も補助を受けていることになる。
著者: 丸山文裕
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報