私立学校振興助成法(読み)しりつがっこうしんこうじょせいほう

大学事典 「私立学校振興助成法」の解説

私立学校振興助成法
しりつがっこうしんこうじょせいほう

私立学校の教育条件の維持・向上と学生等の経済的負担の軽減を図り,私立学校の経営の健全性を高めることを目的に,国および地方公共団体が行う助成措置について規定した法律(昭和50年法律第61号)議員立法により制定され,1976年(昭和51)に施行された。この法律により,国は大学等を設置する学校法人(日本)に対し,当該学校における人件費を含む教育または研究に係る経常的経費について,その2分の1以内を補助することができるとされ(4条),直接または日本私立学校振興・共済事業団を通じ,所定の算定方法に従って補助金が支出されている。私立大学に対する経常費補助は1970(昭和45)年度から開始されたが,この法律によって本格的な実施が実現した。

 私学補助(日本)の根拠私学の公共性であるが,私学の自主性も尊重されなければならず,国と学校法人との間に日本私立学校振興・共済事業団という中間交付者を置いている。法律施行後,補助割合は年々増加し1980年度には約3割に達したが,その後漸減して近年は1割程度の水準で推移している。補助金額には学生定員に対する実員数割合等を算出に組み込み,質の向上について私学の自助努力を促している。同法施行の結果,経常費補助は教員一人当たり学生数の減少など,教育条件の向上には一定の効果をもった。しかし授業料水準に対しては影響が少なく,家計の経済的負担軽減にはさほど効果はなかった。この法律および私学助成制度(日本)については,その必要性を支持する意見に加え,公の支配に属しない教育への公金支出を禁ずる日本国憲法89条との関係についての議論もある。
著者: 山本眞一+丸山文裕

出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報

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