秦酒公(読み)はたのさけのきみ

改訂新版 世界大百科事典 「秦酒公」の意味・わかりやすい解説

秦酒公 (はたのさけのきみ)

5世紀後半ころの廷臣と伝える人物。《日本書紀》雄略12年10月条に,天皇が木工闘鶏御田(つげのみた)を采女を犯したと疑って処刑しようとしたとき,酒公が琴の歌によって天皇をいさめたという話と,同15年条に秦の民が分散して諸氏のもとに駈使されているのを嘆いて,酒公が天皇に訴えたので,天皇はこれを集めて酒公に賜り,酒公はこれを率いて絹や縑(かとり)を献じたが,その絹・縑が朝廷にうず高く積まれたので,禹豆麻佐(うずまさ)という姓を賜ったという有名な話がみえ後者は《新撰姓氏録》や《古語拾遺》にもみえるが,どこまで事実か確かではない。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「秦酒公」の解説

秦酒公 はたの-さけのきみ

渡来系氏族秦氏の伝説上の人物。
「日本書紀」によれば,雄略天皇につかえ,天皇が無実の木工闘鶏御田(つげの-みた)を処刑しようとしたとき,琴をひいてうたい,誤りをさとらせた。また庸,調の絹や絹織物を献上してうずたかくつんだので禹豆麻佐(うつまさ)の姓をあたえられたという。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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