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815年(弘仁6)に編纂(へんさん)された古代氏族の系譜書。本書の編纂は799年(延暦18)、諸国に本系帳(ほんけいちょう)の撰上を命じたことに始まる。814年に至り万多(まんた)親王、藤原園人(そのひと)、同緒嗣(おつぐ)らによって完成されたが、さらに源朝臣(あそん)の条などを追加し、不備な点を補って翌年に朝廷に献上された。全30巻、目録1巻からなるが、現在伝わっているのは抄録本であって、原本の姿をうかがわせる逸文がいくつか残っている。左京、右京、山城(やましろ)、大和(やまと)、摂津、河内(かわち)、和泉(いずみ)の諸国に居住していた1182氏の本系を、皇別、神別、諸蕃(しょばん)の「三体」と呼称する類別に従って分類し、また当時の政治的勢力の優劣の順序によって各氏族を配列してある。『古事記』『日本書紀』など古典には漏れた氏族の古伝承が記されているので、古代史研究の史料として重視されている。本書のような系譜書がつくられたのは、編纂時の政治的、社会的な要請に基づいているので、当代の歴史の側面を知るのにも貴重な文献である。
[佐伯有清]
『佐伯有清著『新撰姓氏録の研究』全9巻(1962~85・吉川弘文館)』
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「姓氏録」とも。古代の氏の系譜書。全30巻・目録1巻だが,完本は伝わらず抄録本だけが現存。万多(まんだ)親王・藤原園人(そのひと)ら撰。815年(弘仁6)成立。京畿内の1182氏を祖の別によって皇別・神別・諸蕃の3体に類別し,出自伝承を「出自」「同祖之後」「之後」の3例で書きわけ,氏名(うじな)の由来,枝分かれした別祖,改姓などが記される。761年(天平宝字5)の「氏族志」編纂(未完)から799年(延暦18)の本系帳提出という,氏族系譜整理の一連の動きをうけて作られた公式の系譜書。その背景には奈良時代以降の氏の変質,渡来系諸氏の日本化などにともなう旧来の氏族秩序の動揺,系譜伝承の混乱があろう。佐伯有清「新撰姓氏録の研究」所収。
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…しかしそのころには,帰化人たちも渡来後かなりの年代を経ており,また本来の日本人の貴族・官人たちも十分に大陸の学芸・技術を身につけて文化的活動を行うようになったため,一般に帰化人のもつ帰化人としての特色はしだいに失われ,やがて9世紀に入ったころには,その独自の歴史的意義は認められない状態となった。弘仁年間(810‐824)に編纂された《新撰姓氏録(しんせんしようじろく)》をみると,そのころ京畿在住の氏族で系譜の確認されたもの1065氏のうち,諸蕃すなわち帰化系氏族は326氏で,全体の約30%を占めており,その内訳は漢(中国系)163氏,百済104氏,高麗41氏,新羅9氏,任那9氏となっている。【関 晃】。…
…太宗朝の638年(貞観12)に頒布された《貞観氏族志》,則天武后の登場にともなって改編された659年(顕慶4)の《姓氏録》,武周政権崩壊後に編纂が始まり,玄宗朝の714年(開元2)に完成した《大唐姓族系録》の3書である。日本の《新撰姓氏録》のモデルとなった。【礪波 護】。…
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