日本大百科全書(ニッポニカ) 「穴守稲荷神社」の意味・わかりやすい解説
穴守稲荷神社
あなもりいなりじんじゃ
東京都大田区羽田に鎮座。豊受姫命(とようけひめのみこと)を祀(まつ)る。社伝によれば、文化・文政(ぶんかぶんせい)(1804~1830)のころ鈴木新田(現在の羽田空港内)を開拓の際、風浪により堤防が破壊され、中腹に大穴があいたので、堤防の上に稲荷大神を勧請(かんじょう)し、一祠(し)を設けたのが起源で、以後、風波が治まり、五穀豊穣(ごこくほうじょう)がなったという。明治以降しだいに信仰者が増し栄えたが、第二次世界大戦後、空港拡張のため現在地の羽田五丁目に遷座した。旧社地であった空港旧ターミナルビル前に朱塗りの鳥居のみが残っていたが、1999年(平成11)空港の沖合い展開拡張工事に伴い、鳥居は約800メートル移動し空港内南西部弁天橋近くの空地に移転した。例祭は2月初午(はつうま)日および11月3日。
[落合偉洲]