風浪(読み)フウロウ

デジタル大辞泉 「風浪」の意味・読み・例文・類語

ふう‐ろう〔‐ラウ〕【風浪】

風と波。
水面を吹く風によって起こる波。さざ波三角波など。風波
[類語]雨風波風風雪風雨無風微風そよ風軟風強風突風烈風疾風はやて大風颶風暴風爆風ストーム台風ハリケーンサイクロン神風砂嵐つむじ風旋風竜巻トルネード追い風順風向かい風逆風横風朝風夕風夜風春一番春風しゅんぷう春風はるかぜ花嵐薫風風薫る緑風やませ涼風すずかぜ涼風りょうふう秋風野分き木枯らし空風寒風季節風モンスーン貿易風東風ひがしかぜ東風こち西風偏西風南風みなみかぜ南風はえ凱風北風朔風松風まつかぜ松風しょうふう山風山颪谷風川風浜風潮風海風陸風熱風温風冷風

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精選版 日本国語大辞典 「風浪」の意味・読み・例文・類語

ふう‐ろう‥ラウ【風浪】

  1. 〘 名詞 〙 風と波。また、海面を吹いている風によって起こる波。なみかぜ。風波。風濤(ふうとう)
    1. [初出の実例]「官舎交簷枕海脣、去来風浪不塵」(出典:菅家文草(900頃)三・晩春遊松山館)
    2. [その他の文献]〔魏志‐徐宣伝〕

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改訂新版 世界大百科事典 「風浪」の意味・わかりやすい解説

風浪 (ふうろう)
wind wave

風波と書いて,〈ふうは〉〈かぜなみ〉あるいは〈かざなみ〉と呼ぶこともある。水面上を吹く風から直接エネルギーが供給されて発達中の波浪をいう。減衰過程にあるうねりと異なり波形は複雑で,表面は粗く,波の峰はとがり,横方向の連なりは短く,風が強くなると砕波して白波が立つ。水面上を風が吹くと,最初に波長数mm程度,周期0.1秒以下の表面張力波(さざ波)がほとんど瞬時に発生する。時間の経過(風の吹送時間)または水面上,風上側の岸から風下方向への距離(風の吹送距離)が増すにしたがって,周期,波長,波高ともより大きな波が順次発生して既存の波に重なっていく。発達はすぐに重力波の帯域に及び,風速,吹送時間,吹送距離がともに最大級の場合には,波長数百m,周期十数秒,波高十数mの巨大な波にまで成長する。風浪の特徴として,(1)周期0.1秒以下から数秒ないし十数秒までの連続した広い帯域にわたっていろいろの周期の波が存在していること,(2)それぞれの周期の波ごとに波高の発達の限界があり,エネルギーに換算するとそれは周期の5乗に比例するという法則性があること,があげられる。後者は風浪のエネルギーの平衡状態を表したものであり,周期成分波のエネルギーは,風の応力によって直接供給されるもの,異なる周期成分との間で流体の非線形作用によって交換されるもの,および砕波や粘性によって失われるものがバランスしている状態が表されていると考えられる。さらに前者の理由と合わせて,波高の卓越する波長(または周期)の最も長い波の上にいろいろの波長の波が重なり合う結果,風浪の波形は複雑になる。風浪の発達過程波浪予報にはきわめて重要であるが,まだ物理学的に完全には解明されていない。
波浪
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「風浪」の意味・わかりやすい解説

風浪
ふうろう
wind wave

海面上を吹く風によって直接起された波。風浪は発生域の外へ伝播してうねりとなる。風浪の発達には海面上を吹く風の速さ,その吹送時間,吹送距離が関係する。風速が大きいほど,吹送時間,吹送距離が長いほど,一般に風浪の波高は大きく,かつ周期が長くなる。したがって,広い海ほど一般に大きな波が発生する可能性がある。しかし,海が十分に広くても波は無限に発達できるわけではない。風浪の進行速度が風速に近づくにつれて,風からエネルギーを吸収する割合が低下し,ほとんど発達しなくなり一つの飽和状態に近づく。この状態に達した波のことを十分発達した波と呼ぶ。このように風が十分広い領域で,十分長い時間吹き続けたとすると,十分発達した風浪の大きさは実験式,波高 ( m ) =0.03×[風速 (m/s) ]2,周期 ( s ) =0.8×[風速 (m/s) ]によって概算することができる。北太平洋などで風速 30m/s の暴風が吹荒れるとすると,十分発達した波は波高 27m,周期 24秒にも達し,外洋における風浪の一つの限界を示す値であると考えられる。 (→風浪階級 )  

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「風浪」の意味・わかりやすい解説

風浪
ふうろう

波浪のうち、その場所の風によって直接生じた波。遠方の風場で形成された風浪が、風場を離れて伝わってきたものをうねりとよんで風浪と区別する。風浪は、うねりに比べて不規則で、波の峰も険しい。風浪の高さや周期は、風の強さ、風が吹き続いた時間(吹続(すいぞく)時間)、風の吹き渡る海上の範囲(吹走(すいそう)距離)によって左右される。風速が一定の場合、十分に時間がたつと、ある一定の波高に達し、それ以上は発達しない。

[桜井邦雄]

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百科事典マイペディア 「風浪」の意味・わかりやすい解説

風浪【ふうろう】

海上を吹く風が直接の原因で起こる波浪表面波で,水の運動は海面付近に限られる。波の峰は鋭くとがる。大洋ではふつう波長30〜40m,波高2〜5m,周期4〜5秒程度。波の伝搬方向は厳密には一定せず,波高,周期,方向の異なる多くの成分波の集まりからなっている。→風浪階級
→関連項目磯波うねり

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海の事典 「風浪」の解説

風浪

風によって起こされた波で、風域内で風の作用を受け続けている波をいう。これに対して風域外に出て峰が丸みを帯びた波をうねりと呼ぶ。風浪は種々の方向に 向かう、種々の波長(周期)を持った波の集合で、個々の峰の尖った不規則な複雑な形をしており、その状態は正確には2次元スペクトルで表される。しかし実 用的には有義波や一次元スペクトルによる表現が広く用いられる。風浪の大きさを支配するのは、風速と風の吹送距離・連吹時間であり単純な条件下では、これ らの値から有義波の波高・周期あるいは波のスペクトルを予報することができる(SMB法・PNJ法)。現在の予報では波のエネルギー方程式を直接電子計算 機で解く方法が取られる。 (永田)

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世界大百科事典(旧版)内の風浪の言及

【うねり】より

…波浪は,風からエネルギーを供給されて発達中の風浪と,その供給を断たれて減衰過程にあるうねりとに分けられる。うねりは風浪にくらべて,峰線の長いなめらかな波面をもつ規則的な波で,多くは波長約100m以上,周期約8秒以上と長く,また波長,周期が長いものほど減衰に時間がかかる。…

【風】より

…例えば赤道帯や北緯23゜付近では100m/s近い偏西風が吹き,南緯18゜~20゜付近では50m/s近い偏東風が吹いている。
【風浪,うねり,高潮】
 風によって起こされる波のなかで波長のあまり長くないものを風浪といい,波高の割合に波長の非常に長いものをうねりという。風浪とうねりでは波の形も異なり,風浪の波頂はとがっているが,うねりの波頂は山形にまるくなっている。…

【波浪】より

…水面波のなかで,海面,湖面などに日常みられる風浪,うねり,およびそれらが岸近くの浅海で変形した磯波を総称して波浪という。すなわち波浪は,おもに風の力が原因となって生成される周期や波長の短い水面波で,潮汐津波高潮などの波とは,周期や波長,成因などの点から区別される。…

※「風浪」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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