空間赤化(読み)くうかんせきか(その他表記)space reddening

改訂新版 世界大百科事典 「空間赤化」の意味・わかりやすい解説

空間赤化 (くうかんせきか)
space reddening

星間赤化interstellar reddeningともいう。遠くの星の光が星間物質による散乱吸収を受けて,もともとの星の光より赤くなる現象。星の光の星間物質による減光(吸収と散乱)は可視光の波長域で波長λにほぼ反比例するので,波長の短い青い光は赤い光より強く減光され,遠くの星の光は赤く見える。星の色指数の観測値と,その星のスペクトル型に対応する色指数の差を色超過colour excessといい,空間赤化の大きさを示すのに用いられる。一般に光の波長λより小さい固体微粒子は,誘電体(氷や石など)であれば光を1/λ4に比例して散乱し,金属であれば1/λに比例して吸収する。空間赤化が起こることは,星間空間の固体微粒子が光の波長より小さい(たぶん0.1μ程度)ことを示している。つまり,朝日夕日が地球大気中の微粒子の散乱で赤くなるのとまったく同じ現象である。そのため空間赤化は星間物質の研究にも重要である。
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百科事典マイペディア 「空間赤化」の意味・わかりやすい解説

空間赤化【くうかんせきか】

星間赤化とも。星間物質による吸収や散乱によって,遠くの星の光がもともとの星の光よりも赤くなる現象。波長の短い青い光が赤い光よりも強く減光されるために生じる。現象としては,朝日や夕日が赤くなるのと同じ。

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