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星間物質 せいかんぶっしつ interstellar matter

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

星間物質
せいかんぶっしつ
interstellar matter

宇宙空間に存在する希薄な物質。星と星の間の空間は完全な真空ではなく,薄い気体や少量の塵粒子が存在する。気体分子の存在は,紫外線,可視光,電波などの輝線または吸収線を検出することによって知られる。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵2015の解説

星間物質

恒星の間の空間(星間空間)に存在する物質の総称。主として水素・ヘリウム主成分とするガスと炭素やケイ素を主成分とする塵(固体微粒子)。平均密度は1立方センチ水素原子1個程度だが、密度分布は非常に不均一で、密度の高い部分をガス雲(うん)と呼ぶ。密度の低いガス雲は水素が原子状態(中性水素)にあり、水素ガス雲(うん)と呼ぶ。低温で高密度のガスは水素が分子状態にあり、分子雲(うん)と呼ぶ。特に大きなものは巨大分子雲(うん)(GMC:Giant Molecular Cloud)で、星の生成領域を伴う。一酸化炭素分子(CO)など分子雲中の様々な分子が電波を放射し、また、ガスに含まれる塵は赤外線を放射する。高温の恒星の周囲のガスは電離して散光星雲になる。

(土佐誠 東北大学教授 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

せいかん‐ぶっしつ【星間物質】

恒星間の空間に存在する希薄な物質。水素を主成分とするガスと、わずかな固体微粒子とからなる。

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監修:松村明
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百科事典マイペディアの解説

星間物質【せいかんぶっしつ】

恒星間の空間に存在する希薄なガス(星間ガス)や固体の微粒子(星間塵)。大部分はガスで,カルシウムナトリウム,炭素,鉄,チタン等のスペクトル吸収線が見られるが,化学組成はふつうの恒星と同じで水素とヘリウムが圧倒的に多いと考えられ,水素原子は波長21cmの電波を放射している。
→関連項目宇宙塵星間塵

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世界大百科事典 第2版の解説

せいかんぶっしつ【星間物質 interstellar matter】

恒星と恒星の間の空間には何もないように見えるが,実はごく希薄なガスや固体の微粒子がある。これを星間物質という。地上の1atmの空気1cm3中に気体分子は1019個あるが,星間ガスは1cm3中に気体原子1~10個しかない。地上の実験室で得られる〈超高真空〉でも10-12mmHg,つまり10-15atm,104個/cm3程度であるから,星間ガスがいかに薄いかわかる。われわれの銀河系内には,1011個の恒星がある。

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大辞林 第三版の解説

せいかんぶっしつ【星間物質】

恒星と恒星との間の宇宙空間にある希薄な物質。水素を主成分とする原子・分子からなる星間ガスと固体微粒子(星間塵じん)とからなる。凝縮して恒星になるものと考えられている。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

星間物質
せいかんぶっしつ

銀河は1000億個以上の星が互いの重力で結合している系であるが、これら星と星の間の空間はまったく何も存在しない真空でなく、物質がさまざまの相として存在しており、それらを星間物質と総称している。1個の星の平均密度(1立方メートル当り10トン)や地球上の大気の密度(1立方メートル当り約1.6キログラム)と比べると非常に希薄な状態にある。[池内 了]

種類と特性

現在知られている星間物質を、その温度や密度の違いによって分類してみよう。
 平均密度(kg/m3)が10-15以上の分子雲、10-17~10-16の中性水素雲、10-18~10-17のH領域、10-19~10-18の一様ガス、10-21~10-20の高温ガス、10-19~10-17の超新星残骸(ざんがい)が主成分である。
 ちょうど地球の大気のように、一様に存在する成分(一様ガス)のなかに分子雲や中性水素雲の密度の高い雲が浮かんでおり、局所的に若く質量の大きい星に照らされてイオン化したH領域や、超新星の爆発によって高い温度へ加熱された領域(高温ガス)や超新星残骸があちこちに点在しているというイメージがよくあう。
 温度をみると、絶対温度が10K(ケルビン)から1000万Kにまで広がっている。温度が100万K以上では、ガスはほぼ完全にイオン化していてプラズマ状態にある。100万Kから3万Kの間では、星間物質の主成分である水素(90%)やヘリウム(9%)は完全に電離しているが、炭素、酸素、窒素などの重元素とよばれる原子は、温度で決まった部分的な電離状態にある。これらは、数からいえば星間物質中には水素の10万分の1程度しか存在しないが、電離状態から温度が決められるので、星間物質の診断によく利用される。温度を3万Kから8000Kへ下げてゆくと、水素は電離した状態から中性の状態へ移行してゆく。1000K以下の状態では、ほぼすべての元素は中性原子や分子の状態になっており、それらは星間雲中に多く存在する。100K以下の低温では、重元素の大部分は数マイクロメートル以下の微粒子(グレイン)に取り込まれてしまう。これは地球上の塵(ちり)と似たものとして、星間塵(じん)とよばれている。
 中性水素雲から高温ガスまでの四つの成分は、ほぼ同じ圧力(10-19気圧)状態と考えられているが、分子雲は自らの重力でゆっくり収縮し始めており圧力が高い。また、超新星残骸は、超新星爆発の際に放出された大量のエネルギーによって星間空間へ広がっており、最終的にはそのサイズは直径200光年を超えるようになる。星間空間の約30%の領域を高温ガスや超新星残骸が占め、残り約70%にH領域や一様ガスが分布している。一方、星間物質の質量の90%以上は、分子雲、中性水素雲の星間雲として存在しており、質量は低温のガスに、体積は高温のガスに占められているといえる。
 星と星の間の空間つまり星間空間には、星間物質とともに、星からの光や宇宙線が飛び交っており、星間磁場も存在することが確かめられている。宇宙線は、超新星やパルサーで加速されて、ほぼ光の速さで星間空間を飛び交っている粒子である。星の光や宇宙線は、星間雲にぶつかると吸収されてそれらを温めており、星間雲からは原子や分子の遷移で電波や赤外線が放射され、温度のバランスが保たれている。宇宙線や電離した原子は、星間磁場を引き延ばしたり圧縮したりしてエネルギーをやりとりしており、星間物質の運動を調べるには星間磁場を無視できない。[池内 了]

星間物質の観測

星間物質の観測は電波からX線までの全波長でなされている。分子雲は電波や赤外線によって直接星間分子をみつけることで、中性水素雲は水素原子の電波の輝線分布でその広がりを推定している。H領域は可視光で電離したイオンの存在を確かめている。高温のガスは軟X線の強度分布や紫外線領域での吸収線を利用して発見された。夕日が赤いのは、太陽からの光の青い部分が塵に吸収されてしまい、赤い部分しか届かなくなるためだが、星間空間にも星間塵が存在し、遠くの星は赤くみえる。もっと密度の高い雲があると、完全に光を遮ってしまうので、その領域は暗黒星雲とよばれる。[池内 了]

星間物質の転換

私たちの銀河系のあちこちで星が生まれているところがみつけられている。オリオン星雲はその代表的な例である。そこには巨大な分子雲があり、若い星があり(したがって、H領域があり)、超新星残骸と思われる高温ガスが巨大に広がった領域がある。このように、星間物質中の分子雲から星は生まれ、若い星によって周りのガスは電離されてH領域になり、超新星として爆発した星によって高温ガスや超新星残骸がつくられる。同時に、爆発の衝撃波で強く圧縮されたガスは、中性水素雲になったり、グロビュールのようなもっと小さな塊となり、それらからも星は生まれると考えられる。高温ガスは、銀河内に広がりつつ冷えて一様成分になる。分子雲は、中性水素雲が互いに衝突して生成される。私たちの銀河系では、こうした一連の過程を経た結果、ほとんどの星間物質が星になる。銀河系の星間物質の総質量は、星の総質量の10分の1程度でしかないが、星の誕生と死に大きくかかわっている。地球の大気は、質量は微々たるものだが、地球上の生命発生に重要な役割を果たしたように、星をつくる材料を提供し、星からのエネルギーを受けて姿を変える星間物質は、銀河の進化をとらえるうえで最重要物質である。[池内 了]

星間物質と銀河の進化

さまざまな銀河中での星間物質の総質量やどのような成分が多いかを観測することによって、その銀河の進化状態を推定することができる。楕円(だえん)銀河には、分子雲や中性水素雲の温度の低い星間雲はほとんど発見されていない。これは、楕円銀河には星間物質が非常に少なく、若い星も生まれていないことを示唆している。実際に、これらの銀河は赤い古い星ばかりで、青い若い星はほとんど存在しない。楕円銀河は進化の進んだ老いつつある銀河といえよう。スパイラルアーム(渦状腕)がきれいにみえる渦状銀河(私たちの属している銀河系もこれに分類される)では、分子雲や中性水素雲が多く発見されており、それらから生まれる青い若い星も多くある。これらの星間雲や生まれたての若い星が、渦巻状に並んでいるのが渦状銀河なのである。渦状銀河は、物質の多くが星になっているが、いまなお星間物質から星が生まれている壮年の進化段階にあるといえる。さらに、形状は不規則であるが、星の総質量より星間物質の総質量のほうが多いという銀河もある。私たちの銀河系のすぐ隣にある大・小マゼラン星雲はこのタイプである。これらの銀河では銀河全体で活発に星が生まれており、若々しい少年や青年の進化段階にあると考えられる。
 このように星間物質がどれくらい多く存在しているかを観測すれば、その銀河が若いのか老いているのか(星が多く生まれているか、もう星は生まれていないか)の目安をつけることができる。現在では、多くの銀河について星間物質の状態が明らかにされつつあり、銀河進化の定量的な研究が進められている。[池内 了]

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