窒化リン(読み)チッカリン

化学辞典 第2版 「窒化リン」の解説

窒化リン
チッカリン
phosphorus nitride

P3N5PN,P2N3が知られている.いずれも重合体 (P3N5)n などとされる.【】五窒化三リン:P3N5(162.95).P3N3Cl4(NH2)2を約800 ℃ に加熱するか,Pと N2 とをNiO触媒存在下,無声放電下で反応させるなどの方法で得られる.純粋な結晶無色.普通は白色固体冷水に不溶.希鉱酸やアルカリ水溶液とも反応しにくい.180 ℃ 以上では水で加水分解してリン酸アンモニウムになる.固体を N2 中で加熱するとPと N2 になり,O2 中で加熱すると N2 とP2O5になる.高温では還元作用をする.半導体のドープ処理に利用される.[CAS 12136-91-3]【】窒化リン:PN(44.98).N2 とPとを約1500~1800 ℃ に加熱するか,またはPCl3とNH3の低温反応,P2N3の真空中の熱分解などで得られる.室温では不安定形の黄色のβ相で,冷硫酸に可溶.これを700~800 ℃ に加熱すると,安定形の冷硫酸に不溶の赤色α相になる.α相も準安定状態で室温でも存在する.水と長時間煮沸するか,水と封管中で加熱すると,少量の副生物とともにおもにホスホン酸アンモニウムとなる.[CAS 17739-47-8]【】三窒化二リン:P2N3(103.97).PCl3とNH3とからつくったP2(NH)3を,500~600 ℃ に加熱すると得られる.不安定な白色の固体.空気中で発火する.封管中で750 ℃ に加熱すると分解してPNと N2 になる.加水分解しやすく,封管中で水と加熱するとリン酸アンモニウムとホスホン酸アンモニウムになる.[CAS 211230-65-8]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android