精選版 日本国語大辞典 「立ち出でる」の意味・読み・例文・類語
たち‐い・でる【立出】
- 〘 自動詞 ダ下一段活用 〙
[ 文語形 ]たちい・づ 〘 自動詞 ダ下二段活用 〙 - ① 立って外へ出る。立ち去る。
- [初出の実例]「秋霧のともにたちいでてわかれなばはれぬ思ひに恋ひやわたらん〈平元規〉」(出典:古今和歌集(905‐914)離別・三八六)
- 「いとま申てどうしんは、をひとってかたにかけ、かうやの山をたちいでて」(出典:説経節・説経苅萱(1631)下)
- ② 立って来る。出て来る。やって来る。現われる。
- [初出の実例]「車にものすれば、ここなるこれかれ、おくりにたちいでたれば」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
- 「西の対の姫君もたちいで給へり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)行幸)
- ③ おもてだった所へ出る。人前や晴れがましい場所へ出る。
- [初出の実例]「なほいとわが心ながらもおほけなく、いかでたちいでにしかと汗あえていみじきには」(出典:枕草子(10C終)一八四)
- ④ 隠れていた物事が表面にでる。表面化する。
- [初出の実例]「人しれず思ふ心は春がすみたちいでてきみがめにも見えなむ〈藤原勝臣〉」(出典:古今和歌集(905‐914)雑下・九九九)
立ち出でるの語誌
「万葉集」では「いでたつ」が三十例近くあるのに対し、「たちいづ」は、東国方言「たしづ」の活用した「多志埿(たしで)」(四三八三)が一例あるのみである。しかし平安時代に入ると「古今集」以下先行して和歌に用いられ、用例数は飛躍的に増える。