朝日日本歴史人物事典 「立原春沙」の解説
立原春沙
生年:文政1(1818)
江戸後期の画家。南画家立原杏所 の長女。名を春子,字を沙々といった。画を父と渡辺崋山に学び,繊細な花卉図を描いた。崋山門下十哲のひとりに数えられる。天保10(1839)年,加賀(石川県)藩主前田斉泰夫人に仕えることとなり,生涯独身を通した。月琴にも長じたという。江戸城大奥で彩色花鳥図襖絵を描き,将軍御台所より筆勢の素晴らしさを賞賛されたという逸話を持つ。墓は東京・本郷駒込海蔵寺にある。代表作に「菊図」(茨城県歴史館蔵)がある。
(安村敏信)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報