立引・達引(読み)たてひく

精選版 日本国語大辞典 「立引・達引」の意味・読み・例文・類語

たて‐ひ・く【立引・達引】

〘自カ四〙
① 互いに意地を張りあう。また、他人のために義理立てする。
※浄瑠璃・夏祭浪花鑑(1745)三「立(たテ)引所か俺も倶々お世話さして下され」
② (①から転じて他動詞的に) 他人のために金銭を支払ったり、立て替えたりする。特に遊女が客の遊興費を負担する。
洒落本・交代盤栄記(1754)「すま絹〈略〉客衆のとり廻しもよし此みちのたて引く」
※歌舞伎・月欠皿恋路宵闇(1865)三幕「何でもいいから五合ばかり達引(タテヒ)いて持って来てくれ」

たて‐ひき【立引・達引】

〘名〙
① 義理や意気地を立て通すこと。また、そのためにとる言動。特に、遊女が客のために出費などすることにいうことがある。たていれ。
※浄瑠璃・夏祭浪花鑑(1745)三「わり様尻持か、此釣舩の三ぶが尻持た立引(たテひき)、此珠数で数へて見りゃ、丁度九百九十九出入有」
② 言い分を述べること。談判すること。交渉。かけひき。
談義本・教訓続下手談義(1753)一「又今時はやる立引(タテヒキ)とやらの埒(らち)明る」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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