立掛る（読み）タチカカル

デジタル大辞泉

たち‐かか・る【立（ち）掛（か）る】

［動ラ五（四）］
１ 立とうとする。立とうとして途中でやめる。立ちかける。「いすから―・る」
２ 立ち向かう。かかっていく。「勇猛果敢に―・る」

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

たち‐かか・る【立掛】

1. 〘 自動詞 ラ行五（四） 〙
2. ① 雲、霧などが立って、かかる。
   1. [初出の実例]「五色の雲、常に彼の芒山に立懸る」(出典：今昔物語集（1120頃か）一〇)
3. ② 今にも立とうとする。まさに立ち上がろうとする。
   1. [初出の実例]「うつぶしに倒れたりけるを、ちがひてたちかかりて、おこしたてず頭を又うちわりてけり」(出典：宇治拾遺物語（1221頃）一一)
4. ③ 立ち向かう。かかってゆく。
   1. [初出の実例]「鐘木を大きに拵へて、二三十人立懸りて、破(われ)よとぞ撞たりける」(出典：太平記（１４Ｃ後）一五)
5. ④ 立ち上がってもたれる。立ってよりかかる。
   1. [初出の実例]「人かげのうちして、ここかしこのたてじとみにたちかかり」(出典：源家長日記（1216‐21頃）)
6. ⑤ 先を争う。
   1. [初出の実例]「野も山もみな銭掛松かと思はれ立かかりて拾へば」(出典：浮世草子・日本永代蔵（1688）四)
7. ⑥ ( 歌舞伎脚本のト書用語 ) 立っている、また、何かに向かって立とうとする、力を加えようとするなどの意に用いる。
   1. [初出の実例]「『ハア』ト立かかり、隼人を引出す」(出典：歌舞伎・韓人漢文手管始（唐人殺し）（1789）四)

出典　精選版 日本国語大辞典