竜土会(読み)りゅうどかい

改訂新版 世界大百科事典 「竜土会」の意味・わかりやすい解説

竜土会 (りゅうどかい)

明治後期の文学者の集まり。1900年代初頭,東京牛込加賀町の柳田国男邸に田山花袋,国木田独歩らが寄って文学談を交わしたのが始まりで,1902年1月,麴町の西洋料理店快楽亭の会合からは会場を外に設けて続けられた。蒲原有明島崎藤村,小栗風葉,柳川春葉ら若い文学世代の交流は,新時代への気運をはらんで影響し合うところが大きかった。牛込赤城神社下の清風亭,雑司ヶ谷鬼子母神の焼鳥屋などから,04年11月,麻布竜土町のフランス料理店竜土軒に移って以後,ここが例会場となり会名も定まった。川上眉山,徳田秋声,小山内薫薄田泣菫野口米次郎長谷川天渓,正宗白鳥ほか,流派を超えて多彩な顔ぶれが出入りしたが,やがて自然主義系作家の懇親の場と変貌した観がある。そのため,07年,別にイブセン会という勉強の場がもたれるようになり,事実上,会の歴史は終わった。その歴史的意義は,自然主義文学の土壌づくりにあったと言える。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android