化学辞典 第2版 「等電点電気泳動」の解説
等電点電気泳動
トウデンテンデンキエイドウ
isoelectric focusing, electrofocusing
電気泳動法の一種.タンパク質に固有な等電点の差によって,タンパク質を分離する方法.短冊型ゲルの両端に電極を設置し,陽極から陰極にかけて徐々に pH の増加する pH 勾配をつくる.あるタンパク質を例にとると,その等電点の pH 層より陽極側(pH は等電点より小)にあるものは正に荷電し,陰極に向かって泳動する.等電点より陰極側(pH は大)にあるものは,陽極側に泳動し,等電点の pH 層のところで実効電荷がなくなり泳動しなくなる.このようにしてタンパク質は,それぞれの等電点層に濃縮され局在するようになり分離される.以前はショ糖の濃度勾配層中でアミノ酸,ペプチドの混合物に通電して pH 勾配をつくり,電気泳動がなされていたが,近年,イモビライン(Immobiline)プレキャストゲルが開発され,この方法は飛躍的に進歩した.二次元電気泳動を駆使するプロテオーム解析の一次元目として,なくてはならない方法となっている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報