日本歴史地名大系 「筑後地鑑」の解説
筑後地鑑
ちくごちかがみ
三巻 西以三著
成立 天和二年
解説 筑後国の地誌。著者の西は三潴郡西牟田に居住した僧侶でのち医師となり、本書編纂の動機ないしは目的を次のように述べている。「北筑雑藁」には繁文や闕文が多く表現も難しく、また「邦内猶頗る載スベキ所ノ者惟レ多シ」として繁雑な所を削り不足を加筆するとともに、俗字・俗語を用いて「人ヲシテ読ミ易ク暁リ易カラシムル」ことに意を用いたという。上巻では久留米城下から順に北筑八郡にわたって寺社の来歴、旧蹟や自然、村数・民数を紹介し、巻末に堕胎とその禁止に関する私見を熱意をもって綴っている。中巻では古城館の歴史をまとめ、巻末に各郡の宗派別の寺院名とその所在村名、久留米から九州諸藩の城下町への行程や街道を扱い、下巻では南筑(柳川・三池両藩領)について、上巻・中巻と同様の紹介をしている。
活字本 昭和四年刊「筑後地誌叢書」。同書は昭和五四年に復刻。「柳川市史」史料編I
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報