管東溟(読み)かんとうめい(英語表記)Guǎn Dōng míng

改訂新版 世界大百科事典 「管東溟」の意味・わかりやすい解説

管東溟 (かんとうめい)
Guǎn Dōng míng
生没年:1536-1606

中国,明末の思想家。名は志道,字は登之,東溟は号。蘇州府太倉州(江蘇省太倉県)の人。隆慶5年(1571)の進士。王学左派の耿定向(天台。1524-96)に師事したが,李贄りし)などの王学左派の思想は人倫を破壊するものであるとの危機感に促されて,彼らを激しく非難した。他方,朱子学の単純な蘇生にも反対して東林党の顧憲成高樊竜(こうはんりゆう)とも論争した。彼は両学を止揚するに仏教の無を中核にすえ,伝統的倫理観を強固に保守する壮大な体系を樹立した。彼は明末思想界のいわば台風の目のような存在であった。《周易六竜解》などの著書があるほか,みずからの精神の彷徨をうたった《歩朱吟》81首は一編の思想詩をなしている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

戒厳令

一般的には指定地域で、国の統治権の全部または一部を軍に移行し、市民の権利や自由を保障する法律の一部効力停止を宣告する命令。戦争や紛争、災害などで国の秩序や治安が極度に悪化した非常事態に発令され、日本...

戒厳令の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android