思想詩(読み)しそうし

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「思想詩」の意味・わかりやすい解説

思想詩
しそうし

思想伝達を主眼とする詩のこと。ドイツの学者 R.ウェルナーは,思想詩を感情詩と対置して,その性格を規定している。名前から連想されるものに,イギリスの形而上詩があるが,これはもっぱら J.ダンを中心とする 17世紀イギリス詩の一流派を呼ぶ名称である。思想詩の最も代表的な一例は,ルクレチウスの『物の本性について』であろう。イギリス文学ではポープの『人間論』や『批評論』,S.ジョンソンの『人間欲望の空しさ』などが最も該当する。いわゆる教訓詩風刺詩も思想詩につながるところが多い。総じて知的な古典派が得意とするが,ロマン派の場合でも,たとえばワーズワスの『逍遙遊』や『義務』および『頌歌・不滅の告示』などはすぐれた思想詩といえる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android