はこ‐や【箱屋】
〘名〙
① 箱などの類を作って売る人。また、その家。
指物(さしもの)屋。
※浮世草子・
世間胸算用(1692)五「箱屋
(ハコヤ)の九蔵」
② (
三味線を箱に入れて持ち歩くところからいう)
客席に出る
芸者の供をして、三味線などを持って行く男。
はこまわし。はこもち。箱丁。
※人情本・春色江戸紫(1864‐68頃)初「お楽は箱屋を呼びよせて」
③ つまらないことに腹をたてておこること。わずかなことでむかっ腹をたてあたりちらすこと。
上方の
花柳界、また、寄席芸人仲間でいう。
※商業符牒袖宝(1884)色街青楼「腹をたてるを、はこや・じらいや」
④ にわか師が、衣装・
小道具・
演技などを
歌舞伎そのままに演じること。にわか
芝居はとぼけに
特色があるのに、歌舞伎そのままに、四角四面に演じるところからいう。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「箱屋」の意味・読み・例文・類語
はこ‐や【箱屋】
1 箱を作り、売る店。また、その人。
2 客席に出る芸者の供をして、箱に入れた三味線などを持っていく男。箱回し。
「検番付きの―が」〈宇野浩二・苦の世界〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
世界大百科事典(旧版)内の箱屋の言及
【名びろめ(名弘)】より
…名広目,名披露目とも書き,名前を世間に広めることをいうが,とくに芸人・芸妓の改名や襲名また商人の新規開業や祖名襲名にあたり,芸名や屋号などを広く喧伝させるため関係者を集め宴を催したり挨拶回りを行ったりすることを指す。芸妓の新造出しや店出しには姉芸者や芸者の三味線などをもって歩く箱屋が付き添い,出入りの茶屋や芸者屋に挨拶回りをし,名刺代りと称して名入りの手拭などを配った。芸人も同様にひいき筋に手拭や扇子などを配り歩いたが,舞台で口上披露を行う場合もある。…
※「箱屋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」