小道具(読み)こどうぐ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

小道具
こどうぐ

舞台で使用する道具,登場人物の携帯品,調度および室内装飾の一部,動物,食物などの総称。このうち,舞台でその都度消耗されるものを「消え物」または「焚捨 (たきすて) 」「定焚 (じょうたき) 」という。松明 (たいまつ) ,雪,食物などはこれに属する。舞台に置かれる調度の類は「置道具」といい,登場人物が持って出たり,持運んだりする「持道具」と区別される。古くは各劇場に小道具方があったが,1885年から小道具の製作と貸出業を始めた藤浪与兵衛は,各劇場の小道具を一手に引受ける専門業者となった。

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デジタル大辞泉の解説

こ‐どうぐ〔‐ダウグ〕【小道具】

こまごまとした道具・器具類。
演劇などで、舞台で使用するこまごました道具。⇔大道具
事を効果的に運ぶために利用する名目。だし。「子供を小道具に使って、同情を引く」
刀剣の付属品。鐔(つば)・目貫(めぬき)など。
女性が髪や身につける装飾品。櫛・笄(こうがい)など。
小道具方」の略。

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百科事典マイペディアの解説

小道具【こどうぐ】

演劇,映画,テレビ用語。俳優が着用あるいは手にすることのできる小型の道具類をいう。大道具の対。家具,置物などの出道具と,帽子,傘(かさ),扇子などの持道具(持物)に大別される。本物,こしらえ物,消え物,壊れ物などいろいろの名称がある。
→関連項目舞台装置

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世界大百科事典 第2版の解説

こどうぐ【小道具】

演劇,映画,テレビ用語。演劇,舞踊,オペラ,映画,テレビなどの舞台やスタジオにセットする家具,調度,装飾品や,演技者が身につけるアクセサリーや所持する小さい道具をいい,美術効果の一部の役割を担っている。小道具は,大道具,衣装(舞台衣装),かつら)などとともに,舞台美術を構成する裏方の一ジャンルで,ドラマの求めに応じて,演出家舞台美術家の指示と演技者の構想を中心に,演目と登場人物の役柄や性格に相応して調達し,製作することを任務としている。

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大辞林 第三版の解説

こどうぐ【小道具】

小さな道具。こまごました道具。
舞台・映画などで使用する、家具・調度・道具など。 ⇔ 大道具
「小道具方」の略。
刀剣の鐔つばや目貫など、付属品の総称。また、武具・甲冑かつちゆう類の付属品。
婦人の櫛くし・笄こうがい、装身具などこまごまとした道具類の総称。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

小道具
こどうぐ

演劇用語。舞台で使用する小形の道具すべてをいう。能から出た語だが、歌舞伎(かぶき)では大道具に対する語になり、現代では広く芸能界に普及している。
 普通、小道具は、家具・置物など装置の一部分として舞台に置かれる「出(で)道具」と、被(かぶ)り物(烏帽子(えぼし)、冠(かんむり)など)、履き物(下駄(げた)、草履(ぞうり)など)、鎧(よろい)、刀剣など、俳優が身につけたり手に持ったりする「持(もち)道具」とに大別されるが、歌舞伎では他の部門との区別は微妙で、たとえば竹籔(たけやぶ)や立ち木などの大道具でも、登場人物がその小枝を折る場合は、折れる部分だけは小道具の担当で、被り物のなかでも、頭巾(ずきん)、鉢巻、手拭(てぬぐい)などは「小裂(こぎれ)」という部門に属する。舞台に登場する動物類は、鳥、蝶(ちょう)など後見が差金(さしがね)で扱うものも、馬、牛など、中に人間が入るものも小道具の領分で、犬、狐(きつね)など縫いぐるみのものは首だけを小道具がつくり、胴体は「にく屋」という肉襦袢(にくじゅばん)製作業がつくることになっている。また、火を見せるための「吹(ふき)ぼや」、妖怪(ようかい)や忍術の煙を見せる「掛煙硝(かけえんしょう)」、舞台で血を見せるための「糊紅(のりべに)」なども小道具に属する。
 初期の歌舞伎では衣装とともに俳優が各自であつらえたが、江戸中期以降は各劇場で専従の小道具師(小道具方(かた))を常備するようになり、1885年(明治18)からは初世藤波与兵衛(ふじなみよへえ)が各座の小道具製作を一手に引き受け、その後、藤浪小道具株式会社に発展、小道具貸出しの専業として今日に至っている。[松井俊諭]

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精選版 日本国語大辞典の解説

こ‐どうぐ ‥ダウグ【小道具】

〘名〙
① こまごました道具、器具類。
※石山本願寺日記‐証如上人日記・天文八年(1539)六月二八日「斎如元光蓮寺勤之。仍代七貫文両度二。又小道具、大根、牛蒡、蕨、竹子のすし、蔤、かうの物、ささけ」
② 鎧(よろい)・兜(かぶと)の付属品。また、武具のこまごましたもの。
※雲形本狂言・鎧腹巻(室町末‐近世初)「鎧腹巻にはいろいろ小道具(コダウグ)が有」
刀剣付属品。目貫(めぬき)、鍔(つば)、縁頭(ふちがしら)など。
※浮世草子・棠大門屋敷(1705)二「能くこそ来れりと御機嫌すぐれ、小道具望みの話ふたつみつ過ぎて」
④ 女が髪や身につける装飾品。櫛(くし)、笄(こうがい)などの類。
※浮世草子・好色一代女(1686)四「いづれか女のかざり小道具(コダウグ)のこる所もなし」
⑤ 華道で、心(しん)の枝以外の役枝。
※立花大全(1683)二「松には、こけにても、しゃれにても、そへてつかふたるもよし。小道具もかくのごとし」
⑥ 茶道で、羽箒(はねぼうき)、火箸、鐶(かん)、蓋置(ふたおき)などのこまごました道具。
※南方録(17C後)滅後「三つ組の小道具、心づかひにも及ぶまじきことと存ずる由申しければ」
⑦ 能で、役者が携帯できる程度の小さい道具。扇、太刀、杖など。→作物(つくりもの)
⑧ 舞台・映画などで使用するこまごました道具。室内装飾品の一部、登場人物の携帯品、食器などをさし、舞台上の人物の手に触れるものが多い。また、それを製作し取り扱う人をもいう。⇔大道具
滑稽本・八笑人(1820‐49)四「錺(かざ)りつけから小道具は、みんな胸の内にならべておくは」
⑨ 容貌としての目、鼻、口などの部分。
※滑稽本・八笑人(1820‐49)初「顔の容色(コダウグ)があつらへ通ぢゃあうれしくもねへ」

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