改訂新版 世界大百科事典 「築地居留地」の意味・わかりやすい解説
築地居留地 (つきじきょりゅうち)
1868年(明治1)から99年外人の内地雑居許可までの期間,東京築地明石町にあった外国人居留地。居留地は,そこだけ外国人の居住・営業を許し,治外法権を認めた特別地域で東京の中の外国であった。69年にはこの居留地内の運上所隣接の電信局と横浜裁判所東角の電信局との間にはじめて一般公衆用の電信が交わされるようになったり,教会やミッション・スクール等が開設されたり,また近くには外国人専用の築地ホテル館(1868完成,72焼失)ができるなど,居留地周辺は独特の開化風俗がただよい,錦絵の題材ともなった。居留地廃止の翌1900年には,それまであった築地病院が宣教師によって整備され,聖路加国際病院が創立されるなど,のちのちまで旧居留地の異国情緒は濃厚に残されていた。
執筆者:小木 新造
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報