日本大百科全書(ニッポニカ) 「米中戦略対話」の意味・わかりやすい解説
米中戦略対話
べいちゅうせんりゃくたいわ
US-China strategic dialogue
アメリカと中国の主要閣僚らが参加して、経済・金融問題から安全保障までの広範な政策課題を話し合う場。アメリカのオバマ大統領と中国の胡錦濤(こきんとう/フーチンタオ)主席が戦略対話開催で合意し、2009年7月に第1回会合をワシントンで開催した。国内総生産(GDP)世界第1位(アメリカ)と同3位(中国)の首脳が定期的に課題について協議することで、両国間の摩擦を解消し、世界経済の安定につなげるねらいがある。
前身は2006年12月から始まった米中戦略経済対話。アメリカの貿易赤字の約3割を中国向けが占めており、人民元高の是正も進まないこともあって、ブッシュ政権の財務、通商担当閣僚や中央銀行トップらが出席して対話が始まった。貿易不均衡の是正のほか、人民元改革、知的財産権の保護、投資協定の提携、エネルギー・環境問題での協力などについて一定の成果をあげた。
2009年に就任したアメリカのオバマ大統領は、対中関係を「世界でもっとも大きく重要な2国間関係」と重視。米中戦略対話を経済分野だけでなく、外交、軍事、地球規模の問題を含む包括的な最上級レベルの協議に格上げする構想を表明・実現した。中国は近い将来、主要国首脳会議(サミット)に加わると予想され、米中閣僚級の定期対話はこの地ならしの意味合いもある。
[編集部]