米中貿易摩擦(読み)べいちゅうぼうえきまさつ(その他表記)US-China trade disputes

共同通信ニュース用語解説 「米中貿易摩擦」の解説

米中貿易摩擦

世界の二大経済国である米国中国の通商分野での対立。トランプ米大統領は第1次政権時の2018年以降、関税を引き上げ、中国側も報復して応酬が始まった。バイデン前米政権になっても追加関税は続いた。トランプ氏は今年1月からの第2次政権でも中国に対し、2、3月に合成麻薬の流入を理由に計20%の関税を追加した。4月には「相互関税」をかけ、第2次政権での対中追加関税は計145%になり、中国側も相互関税に対して125%の報復関税発動。5月の米中高官協議で115%の関税引き下げで合意した。(共同)

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知恵蔵 「米中貿易摩擦」の解説

米中貿易摩擦

米国の貿易統計によれば、2006年の対中国貿易赤字は2300億ドルに達し、同国の貿易赤字の28%を占めるに至っている。これを背景に両国の間で貿易摩擦が強まっている。1990年代までは日米間での貿易摩擦が恒常化していたが、米中間では中国市場の開放度が問題になることが少ない反面、知的所有権問題や通貨面(人民元切り上げ)での圧力に結びつきやすい。2007年に入ってからは、中国製の玩具や食品の安全性に対する懸念が広まり、問題をさらに複雑にしている。中国も輸出品に対する実質的な増税措置(付加価値税の一種である「増値税」の還付額を減額もしくは廃止)や鋼材・自動車輸出の許可制への移行、輸出企業への低利融資の廃止などの輸出抑制策を打ち出しているが、必ずしも功を奏していない。米国内でも国際政治上、中国の協力を必要とする行政府が比較的寛容なスタンスなのに対して、地元選挙民を意識した議会では対中強硬姿勢がとられる傾向がある。近年では世界貿易機関(WTO)の場でも模倣品海賊版対策を不服として米国の対中提訴が相次いでいるのに対し、中国も紙製品に対する反ダンピング関税の仮決定などを不服として逆に米国を提訴するなどの動きが出てきている。

(永田雅啓 埼玉大学教授 / 2008年)

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