米中貿易摩擦(読み)べいちゅうぼうえきまさつ(英語表記)US-China trade disputes

共同通信ニュース用語解説 「米中貿易摩擦」の解説

米中貿易摩擦

貿易を巡る米国中国対立。米国はトランプ政権だった2018~19年、中国の知的財産権侵害などを理由に、制裁として4回にわたって中国からの輸入品追加関税を発動し、中国も報復関税で対抗した。その後、中国による米産品の巨額購入を柱とする第1段階合意に達したが、米国側は中国の購入額が合意した水準に満たないとして、輸入拡大を要求。21年のバイデン政権発足後も追加関税は継続し、米中間で協議が続いている。(共同)

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知恵蔵 「米中貿易摩擦」の解説

米中貿易摩擦

米国の貿易統計によれば、2006年の対中国貿易赤字は2300億ドルに達し、同国の貿易赤字の28%を占めるに至っている。これを背景に両国の間で貿易摩擦が強まっている。1990年代までは日米間での貿易摩擦が恒常化していたが、米中間では中国市場の開放度が問題になることが少ない反面、知的所有権問題や通貨面(人民元切り上げ)での圧力に結びつきやすい。2007年に入ってからは、中国製の玩具や食品の安全性に対する懸念が広まり、問題をさらに複雑にしている。中国も輸出品に対する実質的な増税措置(付加価値税の一種である「増値税」の還付額を減額もしくは廃止)や鋼材・自動車輸出の許可制への移行、輸出企業への低利融資の廃止などの輸出抑制策を打ち出しているが、必ずしも功を奏していない。米国内でも国際政治上、中国の協力を必要とする行政府が比較的寛容なスタンスなのに対して、地元選挙民を意識した議会では対中強硬姿勢がとられる傾向がある。近年では世界貿易機関(WTO)の場でも模倣品・海賊版対策を不服として米国の対中提訴が相次いでいるのに対し、中国も紙製品に対する反ダンピング関税の仮決定などを不服として逆に米国を提訴するなどの動きが出てきている。

(永田雅啓 埼玉大学教授 / 2008年)

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