報復関税(読み)ホウフクカンゼイ(その他表記)retaliatory duties

デジタル大辞泉 「報復関税」の意味・読み・例文・類語

ほうふく‐かんぜい〔‐クワンゼイ〕【報復関税】

自国輸出品に対して相手国が不当に高い関税をかけた場合、その報復として相手国からの輸入品に対して高い関税をかけること。

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共同通信ニュース用語解説 「報復関税」の解説

報復関税

自国の輸出品に対し、貿易相手国から差別的に不利益な扱いを受けたと判断した場合、対抗手段として相手国からの輸入品に高関税を課すこと。日本でも制度化されており、発動の際は原則世界貿易機関(WTO)の承認を受けるとしている。国内産業の保護目的だが、相手国との対立が深まり、報復合戦を招く恐れもある。(ニューヨーク共同)

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精選版 日本国語大辞典 「報復関税」の意味・読み・例文・類語

ほうふく‐かんぜい‥クヮンゼイ【報復関税】

  1. 〘 名詞 〙 ある国が自国の輸出品に対して不当に高い関税をかけた場合、自国もその国からの輸入品に対して高率の関税を課すこと。〔袖珍新聞語辞典(1919)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「報復関税」の意味・わかりやすい解説

報復関税
ほうふくかんぜい
retaliatory duties

自国の輸出品に対してある国が不当に高い関税または輸入規制などの不利益の措置をとった場合、あるいは貿易協定に違反してダンピングなどの不公正な取引を行った場合、その国からの輸入品に対して報復的に賦課する差別関税一種。日本でも関税定率法第7条において、日本の船舶、航空機、輸出貨物あるいは日本を通過する貨物に対して、他国よりも不利益な取扱いをした場合、その国からの輸入品に対しては、政令で国および貨物を指定し、報復として一般関税以外にその貨物の課税価格の100%以下の関税を課すことができるとしている。報復関税は、相手国からの不当な取扱いを改めさせたり、あるいは未然に防止し、自国の利益を守るためのものであるが、その安易な発動はしばしば相手国との報復合戦になるおそれがあり、別名戦闘関税ともいわれる。

[秋山憲治]

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「報復関税」の解説

報復関税

貿易相手国がWTO(世界貿易機関)に違反した場合、報復として相手国からの輸入品に高関税を設定する規定。WTOでは関税に関する一般的な規定が設けられており、この規定に基づいて日本とWTOに加盟する各国関税率を設定し、貿易を行なっている。しかし、もし貿易相手国がWTOに違反した場合は「対抗手段として高率の関税をかける」と日本独自の関税に関する規定である「関税定率法」では定められている。近年では2004年に、アメリカが反ダンピングを盛り込んだ「バード法」を制定した際に、報復関税が発動された。

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