日本大百科全書(ニッポニカ) 「米州人権条約」の意味・わかりやすい解説
米州人権条約
べいしゅうじんけんじょうやく
American Convention on Human Rights
ヨーロッパ人権条約に続く第二の地域的人権条約。1959年4月にチリのサンティアゴで開催された、米州機構の第5回外務大臣協議会議において、米州人権委員会の設置が決議され、米州人権条約草案の作成が米州法律家理事会に任された。起草されたいわゆるサンティアゴ草案は、社会権と自由権を同一の条約のなかで保障することを意図するなど、国際人権規約やヨーロッパ人権条約に比し、はるかに野心的な条約案であったため、草案採択後6年間もたなざらしにされ、65年の第2回米州特別会議で取り上げられ、翌年から米州人権委員会によって検討された。しかし、米州人権委員会は、民族自決権や社会権に関する規定を全面的に削除し、サンティアゴ草案の自由権規定のみを中心とする、「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(自由権規約またはB規約)に類似した草案を作成した。69年11月22日、米州人権専門会議で採択され、78年7月18日に発効した。
[芹田健太郎]