粥の木(読み)カユノキ

精選版 日本国語大辞典 「粥の木」の意味・読み・例文・類語

かゆ【粥】 の 木(き)

  1. かゆづえ(粥杖)
    1. [初出の実例]「十五日、節供まゐりすゑ、かゆの木ひきかくして、家のごたち・女房などのうかがふを」(出典:枕草子(10C終)三)
  2. 小正月(正月一五日)の粥を食べるときの箸。クリヌルデニワトコなどでつくった長い箸の頭の方を削りかけたままにしたもの。この頭の方を粥の煮え立った中へさしこんですぐに引き上げ、さかさにして門の両側に一本ずつさしたりする。孕(はら)み箸。《 季語・新年 》
    1. [初出の実例]「粥の木、折かけ燈籠〈略〉〔向の岡〕(不卜撰延宝八年印本)粥木(カユノキ) かゆの木や女夫(めうと)の箸の二柱〈才丸〉」(出典随筆・用捨箱(1841)上)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の粥の木の言及

【粥杖】より

…粥が付着したまま,柱をたたき,柱に粥を供える土地もある。この日,嫁たたきといって,棒で嫁のしりをたたき,早く子どもを持つように祝う風習があるが,粥杖を用いるのが本来であるらしく,その棒を,平安時代の《枕草子》では〈粥の木〉,《狭衣物語》では〈粥杖〉と呼んでいる。農村では,粥杖を保存しておき,苗代の水口に立て,田の神としてまつる例が多い。…

※「粥の木」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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