精管切断術(読み)せいかんせつだんじゅつ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「精管切断術」の意味・わかりやすい解説

精管切断術
せいかんせつだんじゅつ

男性不妊法の一つで、俗にパイプカットといわれる。精管は、睾丸(こうがん)でつくられた精子射精時に尿道へ輸送する役目を果たしているので、両側の精管を切断してしまえば、精液中に精子は出なくなって、避妊の目的を達することができる。手術は比較的簡単で、局所麻酔で行われる。両側の精管直上の皮膚を約1センチメートル切開して精管を露出し、切断する。断端は電気凝固したうえで結紮(けっさつ)するか、周囲組織内に縫い込む。術後は切断部より上方に精子が相当長い間残存しているので、少なくとも5回以上の射精を行わないと、精液中の精子は消失しない。したがって、この期間はまだ避妊が必要である。この手術によって男性ホルモン(テストステロンなど)の分泌や性交能力が減ることはない。妊娠を期待したい場合は精管再開通術を行うが、手技的には成功しても、精子に対する自家抗体ができているため、精子の受胎力は十分には回復しない。

[松下一男]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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