射精(読み)シャセイ

デジタル大辞泉 「射精」の意味・読み・例文・類語

しゃ‐せい【射精】

[名](スル)性的興奮が最高に達したとき、男性性器から精液が射出されること。

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精選版 日本国語大辞典 「射精」の意味・読み・例文・類語

しゃ‐せい【射精】

  1. 〘 名詞 〙 精液を射出すること。射精中枢の興奮によって反射的に起こる。
    1. [初出の実例]「Insemination 交接時射精スルコト」(出典:医語類聚(1872)〈奥山虎章〉)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「射精」の意味・わかりやすい解説

射精
しゃせい

精液が射出されることをいう。男性性器に加えられた刺激により射精中枢はしだいに興奮し、その刺激は反射的に精管に伝えられ、精巣上体副睾丸(ふくこうがん))尾部に停滞している精子は精管の蠕動(ぜんどう)運動により精管膨大部へと運ばれる。中枢興奮が最高に達すると(オルガスムス)、前立腺(せん)液、精管膨大部内の液、精嚢(せいのう)液などが前立腺部尿道に排出される。精液が前立腺部尿道に送り出されると内尿道口は通常閉じ、精液の膀胱(ぼうこう)内への逆流を防ぐと同時に球部尿道は普通の2~3倍に膨張する。ついで外尿道括約筋が弛緩(しかん)して精液は膨張した球部尿道と海綿体部尿道に入る。この精液は、球海綿体筋や坐骨(ざこつ)海綿体筋などの会陰(えいん)筋および尿道括約筋などの律動的収縮により外尿道口より射出される。これら一連の射精の過程は下腹神経、骨盤神経、陰部神経によりコントロールされている。内尿道口の閉鎖機能が障害されると、精液は膀胱内へ逆流(逆行性射精)して無精液症となり、不妊の原因になる。

[白井將文]

動物の射精

動物の場合も、雄が精液を排出することを射精という。哺乳(ほにゅう)類では、脊髄(せきずい)下部に射精中枢があって、勃起(ぼっき)したペニスからの感覚刺激の加重によって興奮し、反射的に射精がおこるが、その仕組みは生殖輸管壁の平滑筋における次のような一連の律動的収縮による。まず、副睾丸管壁の収縮が始まり、輸精管壁、尿道へと進行する。尿道では前立腺、貯精嚢、尿道腺からの分泌物と混合し、ここから会陰筋、尿道括約筋などの律動的収縮により体外へ排出される。射精に要する時間は、ヒツジ、ヤギ、ウシのように短いものと、イヌのように長いものがあるが、その時間的経過を追って精液の成分を分けることができ、長い種ではとくに分けやすい。精液の量も種によって異なり、ブタのように250ミリリットルにも達するものもあるが、イヌでは12ミリリットル、ウサギやネズミなどでは1ミリリットル以下である。

 鳥類でも、ニワトリなどでは人工授精の際に精液を採取することがあり、0.1~0.9ミリリットルぐらいの精液の射出がみられる。陸生無脊椎(むせきつい)動物のなかにも、雄が雌の腟(ちつ)内に陰茎を挿入して、雌の体内に精液を直接送り込む種類があり、その際には当然射精がおこるが、その詳しい機序についてはまだ十分にわかっていない。

[新井康允]

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改訂新版 世界大百科事典 「射精」の意味・わかりやすい解説

射精 (しゃせい)
ejaculation

精液を外尿道口から射出する現象をいう。射精は,大脳高位中枢の刺激や陰部神経を通じて伝えられた男性性器の局所刺激によって脊髄反射中枢(射精中枢)が興奮し,出されたインパルスが下腹神経を通じて生殖器に送られることによって開始される。まず副睾丸尾部の精子が精管膨大部に運ばれる。性的興奮が最高に達し,オルガスムスとなると,前立腺液が,次いで精管膨大部に達した精子が,精囊液とともに尿道前立腺部に排出される。この精液は,尿道外括約筋の弛緩と球海綿体筋,尿道海綿体筋,会陰筋などの律動的収縮と弛緩とによって,外尿道口から射出される。射精時には内尿道口は閉鎖し,精液が膀胱内へは逆流しない。

 性的行為によらない射精を遺精といい,また射精のプロセスになんらかの障害のあるものを射精障害と呼んでいる。性的刺激により早期に射精が起こるものを早漏,なかなか射精が起こらないものを遅漏という。しかし,性交時間には個人差があり,何分間で射精するのが正常かを決定するのは難しい。一般に,挿入から射精までの時間は,20歳代7~8分,30歳代10~12分,40歳代10~13分,50歳代15分といわれている。射精時に精液が膀胱へ侵入するものを逆行性射精といい,脊髄神経疾患などでみられ,病的である。この場合,オルガスムスに達し,射精感はあるが精液の射出は認められない。直後に排尿させると,尿は白濁し,精液が混じっている。これを精液尿という。
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百科事典マイペディア 「射精」の意味・わかりやすい解説

射精【しゃせい】

精液が射出される現象。普通は性交に際して起こるが,遺精および夢精のように性交によらずに起こることもある。射精は脊髄の射精中枢の興奮によって反射的に起こり,射精管から尿道に至る管壁の筋肉が順次収縮し,精液は外尿道口から射出される。
→関連項目オルガスムス性交精子減少症精嚢早漏

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「射精」の意味・わかりやすい解説

射精
しゃせい
ejaculation

精液を放出すること。人間では普通,性感と陰茎の物理的刺激で誘発される。精管と前立腺の筋肉の収縮で精液が後部尿道に押出され,球海綿体筋と坐骨海綿体筋の律動的収縮によって体外に射出される。この射精の途中で,前立腺分泌液や尿道分泌液が精子と精嚢腺液に混って精液となる。射精の際は必ずオルガスムを伴う。射精時に痛みを訴える場合は感染,腫瘍,結石などの疑いがあり,必ず尿路の精密検査を受ける必要がある。

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世界大百科事典(旧版)内の射精の言及

【性器】より

…精管は鼠径管を通って骨盤内に入り,腹膜下の結合組織内を下って膀胱の後下方に達する。このあたりで精管は太くなって精管膨大部とよばれるが,ついで前立腺内に進入し,その中で細い射精管となって,前立腺を貫く尿道に左右別々に開く。また膀胱の後下面,前立腺のすぐ後上方には細長い紡錘形の精囊が1対あり,射精管に開口する。…

【性交】より

… 性交も含め,男女の性の行為が〈性行為sexual act〉であり,さらに拡大して性に関する行動を総称したものが〈性行動sexual behavior〉である。 性行為は一般にキス(接吻)や互いの愛撫刺激(いわゆるペッティング)などで始まり,これらの前戯で互いの性的興奮を高めあったのち,性交に移り,性交運動により性的快感を高めあい,興奮が極大に達するとオーガスム期を迎え,このとき男では射精が起こる。 このような性行為において,男女がどのような生理的反応を起こすかについては,アメリカのW.マスターズとV.ジョンソンによって詳しく調査された(1954)。…

※「射精」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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