糖転移酵素(読み)トウテンイコウソ

化学辞典 第2版 「糖転移酵素」の解説

糖転移酵素
トウテンイコウソ
glycosyltransferase

糖のキャリヤーであるUDPGDP,ドリコールリン酸([イソプレン]n=16~20-CH2CH2-Pi)に結合した糖,または糖鎖を別の分子(糖,脂質,タンパク質)に転移する酵素.生体内で多糖,糖タンパク質,糖脂質の生合成に関与する.基質特異性が異なる多くの糖転移酵素が知られているが,そのうちの一つの糖転移酵素の遺伝子がABO式の血液型を決めている.この遺伝子には,A,B,Oの三つのアレル(変異型)がある.アレルAとBによってコードされる糖転移酵素は,4個のアミノ酸残基が異なるだけであるが,片方(A)はN-アセチルガラクトサミンを転移し,もう一方はガラクトースを転移する.アレルOは1塩基脱離により不活性な酵素しかつくれない.血液型の図

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「糖転移酵素」の解説

糖転移酵素

 →グリコシルトランスフェラーゼ

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の糖転移酵素の言及

【炭水化物】より

…分解酵素はほとんどの場合加水分解酵素であり,これらはグリコシダーゼglycosidaseと総称されている。合成酵素は糖転移酵素(グリコシルトランスフェラーゼglycosyltransferase)と総称され,糖の活性化型である糖ヌクレオチドから単糖単位を移して糖鎖をのばす働きをする。糖ヌクレオチドを生合成するためには,ATPのエネルギーを使用せねばならず,多糖の生合成はかなりのエネルギーを消費する反応である。…

【糖タンパク質(糖蛋白質)】より

O‐グリコシド型の糖鎖は,ガラクトース,N‐アセチルガラクトサミン,N‐アセチルグルコサミン,シアル酸,フコースなどを含むが,マンノースを含まない。
[糖タンパク質の生合成]
 この複雑な構造の糖鎖は,基本的には糖の活性化型である糖ヌクレオチド類から特異的な糖転移酵素(グリコシルトランスフェラーゼ)によって,一つずつ糖が付加されていくことによって構築されていく。図2に示したように,N‐グリコシド型糖鎖の場合には,マンノースとN‐アセチルグルコサミンからなる中核構造は,一度ドリコールリン酸と結合した形で作りあげられ(ドリコールは16~20個のイソプレノイドよりなる長鎖アルコール),さらにその外側にグルコースを結合した中間体となっている。…

※「糖転移酵素」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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