紙遣(読み)かみづかい

精選版 日本国語大辞典 「紙遣」の意味・読み・例文・類語

かみ‐づかい‥づかひ【紙遣】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 紙を使用すること。
  3. 紙の色あいなどに気をくばること。
    1. [初出の実例]「『さばかりめでたき御かみづかひ、かたじけなき御言の葉を尽くさせ給へるを、かくのみ破(や)らせ給ふ、情なき事』といふ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)浮舟)

紙遣の語誌

( 1 )平安貴族は、手紙をやる場合でも、目的に応じて、紙質・紙色・模様・薫り・字の書き様から、さらにその手紙を結ぶ植物などの景物まで、あらゆるものが、その場その時に調和する美を重んじた。
( 2 )紙屋紙綸旨・宣旨などの公文書に、陸奥紙は日常用途に、唐紙・高麗紙は扇などの装飾用になどの別があり、恋文には、薄様が常であった。
( 3 )紙色も、恋愛の男女の間では、紅・青・緑といった華やかな色調が普通であり、日常通信には格別目立つ配色をしない。したがって、内容は見なくても、外見だけで内容もだいたい推測できた。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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