日本大百科全書(ニッポニカ) 「紛失届」の意味・わかりやすい解説
紛失届
ふんしつとどけ
現金、貴金属、有価証券、各種免許などの私有財産を遺失したり忘失したときに、警察、関係官庁署または所属会社などに届け出る手続および書類をいう。遺失主は、紛失に気づいたらただちに近くの警察署・交番・駐在所または駅事務所などに届け出る。一方、拾得物の交付を受けた警察署長は、その物件の返還を受けるべき者がわかればその者に返還し、わからないときは公告し、公告後3か月内に所有者が知れないときは、拾得者が所有権を取得する(民法240条)。遺失主がわかった場合には、その者に返還することとなるが、遺失物法は、原則として遺失主は拾得者に対して、遺失物件の価格の5分以上2割以下の報労金を給付すべきものとしている(遺失物法28条1項)。もっとも、たとえば、JR車内や船や車、建築物内などで他人の物件を拾得した者は、この報労金を占有者(JRなど)と半分ずつ分けることとなる(同法28条2項)。
[竹内俊雄]