素通(読み)すどおし

精選版 日本国語大辞典 「素通」の意味・読み・例文・類語

す‐どおし ‥どほし【素通】

〘名〙
① さえぎるものがなくて、先方までずっと見通せること。また、さえぎるものもなく、通るのにまかせる状態であること。また、そのさま。
方丈記私記(1970‐71)〈堀田善衛〉八「各室全部素通しでドアーがない」
めがねに度のないこと。また、そのめがね。
南小泉村(1907‐09)〈真山青果〉三「慢性結膜炎とか云って、青眼鏡の素透(スドホシ)を掛けて居た」
③ ガラスなどが透き通っていること。また、そのもの。
※午後の曳航(1963)〈三島由紀夫〉一「フロントが、入口の素通しの硝子ごしにのぞけるそんなホテルに」
④ 売買にまったく利益のないこと。口銭のない売買。

す‐どおり ‥どほり【素通】

〘名〙 立ち寄らないで通り過ぎること。
平家(13C前)八「いかで車であらむがらに、すどをりをばすべきとて」
坊っちゃん(1906)〈夏目漱石〉三「おれは蕎麦(そば)が大好きである〈略〉かうして看板を見ると素通りが出来なくなる」

す‐どお・る ‥どほる【素通】

〘自ラ四〙 すどおりする。何もじゃまされないで通りぬける。
散木奇歌集(1128頃)秋「柴の庵にはこものかこひそよめきてすとをる物は嵐也けり」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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