紫苑物語(読み)シオンモノガタリ

関連語 新潮文庫

日本大百科全書(ニッポニカ) 「紫苑物語」の意味・わかりやすい解説

紫苑物語
しおんものがたり

石川淳(じゅん)の短編小説。1956年(昭和31)『中央公論』に発表、同年講談社刊。歌の家に生まれた守(かみ)は、歌から出て弓の道をみいだす。彼の弓は「知の矢」から「殺の矢」へと開眼し、さらに「魔の矢」へと上昇する。守の前に、彼にとってのいま一人の自己、これを乗り越えるべき自己として、平太という存在が現れる。守は平太と対決し、この乗り越さるべき自己を射ることによって、自らも死ぬ。守の冀願(きがん)はこの運命的な自己実現において、山野にとどろく鬼の歌のあかしを残す。この作者秀作の一つ。

[井沢義雄]

『『紫苑物語』(新潮文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

春になって暖かくなりかけた頃、急に寒さが戻って、地面などがまた凍りつく。《 季語・春 》[初出の実例]「七瀬御秡 同晦日也。〈略〉雪汁いてかへる」(出典:俳諧・誹諧初学抄(1641)初春)...

凍返るの用語解説を読む