経伝釈詞(読み)けいでんしゃくし(その他表記)Jing-zhuan shi-ci

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「経伝釈詞」の意味・わかりやすい解説

経伝釈詞
けいでんしゃくし
Jing-zhuan shi-ci

中国,清の字書王引之の著。 10巻。嘉慶3 (1798) 年頃成立。ここで「詞」というのは虚字 (指示詞接続詞助詞副詞など) のことで,前漢までの古典に出てくる虚字約 160について詳しい解説をしたもの。虚字の多くはあて字であるため,実字としての原義で解釈しては誤ることが多いとして,むしろ音の相通の面から意味の連関をみる態度で書かれ,配列も喉,牙,舌,半舌,歯,半歯,唇の「七音」の順になっている。やや欠点も認められるが,今日でも古典解読のための必須の書である。孫経世の『経伝釈詞補・再補』と合刻されることもある。

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世界大百科事典(旧版)内の経伝釈詞の言及

【王引之】より

…実は王念孫の父,王安国(文粛公)も吏部尚書にまでなった篤学の高官で,王引之の学問は王氏3代の学の精華である。《経義述聞》15巻,《経伝釈詞》10巻はとくに名高いが,経書の訓詁を説く《経義述聞》は,すなわち〈聞けるを述ぶ〉を書名とするように,すすんで父王念孫の学問の祖述者であろうとしているため,どこが王引之の独創であるかを見とどけることが,しばしば困難となる。死後文簡公と諡(おくりな)された。…

※「経伝釈詞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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