日本大百科全書(ニッポニカ) 「経籍訪古志」の意味・わかりやすい解説
経籍訪古志
けいせきほうこし
わが国に伝存する漢籍の古写本、古版本を解説した書。森立之(たつゆき)(枳園(きえん))らの編で全8巻。1856年(安政3)成立。宋(そう)・元(げん)・明(みん)および朝鮮の古版本、わが国慶長(けいちょう)(1596~1615)以前の古写本や古活字版など760部を収め、書名、巻数、所蔵者、序跋(じょばつ)、奥書、蔵書印記などを詳細に記録している。このなかには中国ではすでに逸書となった書物も少なくない。江戸期における書誌学最高の業績ともいうべき書である。
[金子和正]
『「経籍訪古志考」(『長沢規矩也著作集 第2巻』所収・1982・汲古書院)』▽『川瀬一馬著「経籍訪古志の成立――特に初稿本以前について」(『神田博士還暦記念書誌学論集』所収・1957・同書刊行会)』