統制価格(読み)とうせいかかく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「統制価格」の意味・わかりやすい解説

統制価格
とうせいかかく

消費者や生産者の保護を目的として、政府によって規制される価格をいう。第二次世界大戦中から戦後にかけて、わが国では必需品を主に多数の財・サービスの価格が統制された。多くの場合、価格の統制は数量の統制を伴い、消費については配給制、生産については割当て制が併用されるが、価格の統制だけが単独で用いられることもある。数量統制を伴わない価格統制は、たとえば、市場の実勢によって決まる価格が大幅に変動して取引の不確実性を生じるような財・サービスについては、それを安定化して取引を促進する手段として有効な場合もあるが、他方では、消費者保護のためにとられる低い統制価格が、その供給を抑制してその財・サービスの入手を困難にしたり、また、生産者を保護するための高い統制価格を維持するには、政府がその財・サービスを高い価格で買い上げる価格支持政策をとることが必要となるなど、資源配分のひずみを伴いやすい。

志田 明]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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