統治契約(読み)とうちけいやく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「統治契約」の意味・わかりやすい解説

統治契約
とうちけいやく

人民と支配者との間に結ばれる契約。自主独立の個人が相互に結ぶ社会契約とは異なる。この契約によって人民はいくつかの重要な権利を留保しつつ,平和と秩序とを維持するため支配者に統治をゆだね,これに服従することを約束する。したがって支配者は人民の権利を保障し,統治義務を履行しなければならない。すでに中世において存在しており,たとえばマグナ・カルタはこのような契約観念によって制定されたとみてよい。近代にいたって統治契約はモナルコマキによって取上げられ,抵抗権論の根底とされた。近代社会契約説の理論的先駆といえるが,本質的に身分社会前提とする点で,自由・平等な個人を前提とする社会契約説とは区別される。

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世界大百科事典(旧版)内の統治契約の言及

【社会契約論】より

…1762年,オランダで出版されたJ.J.ルソーの著作。ルソーは社会契約によって正当な政治体(国家)が成立すると考えたが,この契約は18世紀において国家成立の基本原理と一般に考えられていた人民と首長とのあいだの統治契約(首長が人民を保護する代りに人民は首長に服従するという契約)ではなかった。ルソーは,各個人が自分のもつすべて,すなわち財産や,必要とあれば生命をさえ全体に譲渡し,そのことによって強い力を蓄えた全体が各構成員を保護するという契約を構想した。…

※「統治契約」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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