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統計加速 とうけいかそくstatistical acceleration

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

統計加速
とうけいかそく
statistical acceleration

荷電粒子が変動する磁場と不規則に出会うとき,加速される場合も減速される場合もあるが,統計平均的には加速される機構をいう。宇宙線(高エネルギーの荷電粒子)の加速はこの機構による。統計加速には 2種類あり,第1はエンリコ・フェルミが 1949年に提案したものでフェルミ加速と呼ばれる。荷電粒子が磁気雲(周囲より磁場の強いプラズマ塊)と正面衝突すると粒子のエネルギーは 2u/vの割合だけ増加し,追突すると 2u/vの割合だけ減少する(uは磁気雲の速さ,vは荷電粒子の速さ)。正面衝突,追突の頻度はそれぞれ v+u,v-uに比例し,正面衝突の頻度のほうが高いため,統計的には粒子は加速される。この加速機構では,宇宙線のエネルギースペクトルはべき関数となる。フェルミは加速が星間空間で起こると考えたが,加速能率が不足で,今日では超新星や銀河系外の電波銀河などのより活動的な場所で衝撃波などの効果も取り入れたうえで有効と考えられている。第2は 1933年ウィリアム・スワンが提唱したベータトロン加速である。この加速機構では,荷電粒子が変動磁場内にあるとき,磁場に垂直な運動量成分は磁場に比例して増減するが,粒子がプラズマ粒子との衝突により運動量を磁場に平行な成分に分配することにより,磁場が強くなるときに増加した運動量を蓄積して粒子が加速される。宇宙線の加速にはこれら両方の機構が働くと考えられる。

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