綰く(読み)タク

デジタル大辞泉 「綰く」の意味・読み・例文・類語

た・く【×綰く】

[動カ四]
1 髪をかき上げて束ねる。
「人皆は今は長しと―・けと言へど」〈万・一二四〉
2 舟をあやつる。
「大舟を荒海あるみに漕ぎ出で八や舟―・け我が見し児らがまみは著しるしも」〈万・一二六六〉
3 《「だく」とも》手綱をあやつる。
「石瀬野いはせのに馬―・き行きてをちこちに鳥踏み立て」〈万・四一五四〉

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精選版 日本国語大辞典 「綰く」の意味・読み・例文・類語

た・く【綰】

  1. 〘 他動詞 カ行四段活用 〙
  2. ① 髪をかきあげたばねる。
    1. [初出の実例]「多気(タケ)ばぬれ多香(タか)ねば長き妹が髪この頃見ぬに掻きれつらむか」(出典:万葉集(8C後)二・一二三)
  3. ② 力いっぱい舟を漕ぐ。全力で漕ぐ。
    1. [初出の実例]「大船を荒海(あるみ)に漕ぎ出でや船多気(タケ)吾が見し子らがまみはしるしも」(出典:万葉集(8C後)七・一二六六)
  4. ③ 網などをたぐりあげる。
    1. [初出の実例]「思ひきやひなのわかれにおとろへてあまのなはたきいさりせんとは〈小野篁〉」(出典:古今和歌集(905‐914)雑下・九六一)
  5. ④ ( 「だく」とも ) 馬の手綱(たづな)をあやつる。手綱をとる。
    1. [初出の実例]「石瀬野に 馬太伎(ダキ)行きて 遠近(おちこち)に」(出典:万葉集(8C後)一九・四一五四)

綰くの補助注記

手(て)を動詞化した語で、手を用いて何かをする意を表わすと考えられる。「頂髪(たきふさ)の中より、設(ま)けし弦を採り出して」〔古事記‐中〕、「四天王の像を作て、頂髪(たきふさ)に置て、誓を発て言」〔書紀‐崇峻即位前〕の「たきふさ」は、手を用いて髪をあげて束ねたものの意。また、「未通女(をとめ)らが織る機の上をま櫛もち掻上(かか)げ栲嶋(たくしま)波の間ゆ見ゆ」〔万葉‐一二三三〕は、機を織る時乱れた糸を櫛で整える意か。なお「手寸十名相植ゑしく著(しる)く出で見ればやどの初萩咲きにけるかも」〔万葉‐二一一三〕の「手寸十名相」には定訓がないが、「たきそなへ」と訓み「たく」の一例と見る説もある。

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