多気(読み)たき

改訂新版 世界大百科事典 「多気」の意味・わかりやすい解説

多気[町] (たき)

三重県中部,多気郡の町。2006年1月旧多気町と勢和(せいわ)村が合体して成立した。人口1万5438(2010)。

多気町西部の旧村。多気郡所属。人口5146(2005)。櫛田川中流域の農山村で,紀伊山地に属する山地が広く分布し,低地は北部を流れる櫛田川と南部を流れる宮川支流の濁川沿いに開ける。櫛田川の河岸段丘面を利用して米作やタバコ,茶の栽培が行われる。ほかに林業も営まれ,シイタケ栽培も盛ん。先土器~弥生時代の遺跡が多く,丹生(にう)は,奈良時代から水銀の産地として知られた丹生神社とともにあり,丹生大師の名で有名な真言宗山階派の神宮寺や,重要文化財の《法然上人絵伝》を有する西導寺がある。村の北半分は香肌峡(かはだきよう)県立公園に含まれる。国道42号線,368号線が通り,旧多気町との境には伊勢自動車道勢和多気インターチェンジがあり,勢和多気ジャンクションで紀勢自動車道を分岐する。

多気町東部の旧町。多気郡所属。人口1万0647(2005)。櫛田川中流南岸に位置し,北は櫛田川を境に松阪市に接する。町域は南半の紀伊山地に属する丘陵性山地と櫛田川の沖積平野からなる。中心集落の相可(おうか)は近世には伊勢本街道熊野街道が交差する宿場町で,交易地として栄えた。主産業は農業で,米作を中心に畜産,果樹栽培が行われる。ミカン,柿,伊勢いもの特産があり,肉牛は松阪肉として出荷される。長盛寺,普賢寺近長谷寺など重要文化財の寺宝をもつ古刹(こさつ)が多い。JR紀勢本線が通り,多気駅で参宮線を分岐する。国道42号線が通る。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「多気」の意味・わかりやすい解説

多気(町)
たき

三重県中部、多気郡にある町。1955年(昭和30)相可(おうか)町と佐奈(さな)、津田(つだ)の2村が合併して成立。町名は古代からの郡名にちなむ。1959年西外城田(にしときだ)村を編入。2006年(平成18)勢和村(せいわむら)を合併。町の北部を櫛田川(くしだがわ)、南東部を宮川が東流し、東部は両河川間の沖積地で水田が開け、中部から西部は丘陵地・山地でミカン、カキ、茶などを産し、ヤマノイモの一種伊勢(いせ)イモは特産品。多気ニュータウンなど住宅地化も進行、1995年には多気工業団地にシャープ三重工場(現、シャープディスプレイテクノロジー三重事業所)が完成した。国道42号、368号とJR紀勢本線が通じ、参宮線を分岐する。また、勢和多気ジャンクションで伊勢自動車道と紀勢自動車道が接続している。古墳や古窯跡が多く、中世には神宮領で御園(みその)、御厨(みくりや)であった所が多い。近世では紀州藩田丸領、松坂領、神宮領などに属した。中心集落の相可は熊野街道と参宮街道の合する宿場、交易集落として栄えた。町の東部にある五桂池(ごかつらいけ)は県下一の灌漑溜池(かんがいためいけ)で、紀州藩が人足延べ1万余を使役し5年をかけて1678年(延宝6)に完成したもので、120ヘクタールの水田を潤す。池の近くには観光農園や動物広場などがある「五桂池ふるさと村」がつくられている。普賢寺(ふげんじ)や近長谷寺(きんちょうこくじ)には国指定重要文化財の仏像がある。面積103.06平方キロメートル、人口1万4021(2020)。

[伊藤達雄]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「多気」の意味・わかりやすい解説

多気
たげ

三重県中部,津市南部の地区。大和と伊勢を結ぶ初瀬街道に沿い,中世,伊勢国司北畠氏が9代にわたって居城を置いたところとして知られる。建武3 (1336) 年南朝の臣北畠親房が宗良親王を奉じて伊勢国に下り,北朝に抵抗するため,興国3 (1342) 年山峡の要害であるこの地に霧山城と居館を築いた。城は天正4 (1576) 年,織田氏に滅ぼされるまで約 240年間存続し伊勢国を支配。北畠顕能をまつる北畠神社がある。北畠氏館跡庭園は室町時代の様式をほぼ完全に残し国の名勝に,また裏手約 2kmの山頂にある霧山城跡とともに国の史跡にも指定されている。

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百科事典マイペディア 「多気」の意味・わかりやすい解説

多気[町]【たき】

三重県中部,伊勢平野にある多気郡の町。中心集落は櫛田川南岸の相可(おうか)で,熊野街道と初瀬(はせ)街道の交わる要地として発達。多気駅で紀勢本線から参宮線が分岐。伊勢自動車道勢和多気インターチェンジがある。米作,畜産のほかミカン,カキ,ナシなど果樹栽培が盛ん。2006年1月多気郡勢和村を編入。103.06km2。1万5438人(2010)。
→関連項目大国荘

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動植物名よみかた辞典 普及版 「多気」の解説

多気 (タケ)

植物。イネ科タケササ類で大形の竹の総称

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