改訂新版 世界大百科事典 「縞枯山」の意味・わかりやすい解説
縞枯山 (しまがれやま)
紀伊半島から奥日光の間の表日本側の亜高山帯シラベ林にみられる特有の縞状の立枯れ現象のおこっている山。その主要な地域は八ヶ岳山系と奥秩父山系の西部であって,八ヶ岳北部には縞枯山という固有名の山もある。縞枯れ現象は平たんな稜線とこれに続く南面の緩斜な山腹上部にみられ,斜面中腹以下ではみられない。斜面上部ではシラベの根も浅く生育不良のうえ,密生しているので風に対して弱い。台風が吹き抜けるときに線状になぎ倒される。風倒面ができると,その上縁の林木は乾燥などによって枯れ進み,一方,もとは真っ暗な林内にあったシラベの稚樹はいっせいに生長を開始し林になっていく。立枯れの上方への進行と同時に,若い林も進んでいく。もとの位置が老齢になると台風で次の風倒面ができ次の縞ができて,数列の縞枯れがみられるようになる。
執筆者:橋本 与良
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報