精選版 日本国語大辞典 「繁し」の意味・読み・例文・類語
しげ・し【繁・茂・稠・蕃】
- 〘 形容詞ク活用 〙 ( 室町時代から近世にかけては口語形「しげい(繁)」も用いられた。→しげい(繁) )
- ① 草木など、葉が茂り重なって多い。草木などが密生している。
- ② 数量が多い。たくさんある。豊富である。また、豊かである。
- [初出の実例]「食国天下を恵み賜ひ治め賜ふ間に、万機(よろづのまつりごと)密久(しげク)多くして、御身敢へ賜はずあれ」(出典:続日本紀‐天平勝宝元年(749)七月二日・宣命)
- 「蛍しげくとびまがひて、をかしきほどなり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
- ③ 回数が多い。たび重なる。絶え間がない。しきりである。
- [初出の実例]「あまざかる鄙(ひな)ともしるくここだくも之気伎(シゲキ)恋かも和(な)ぐる日もなく」(出典:万葉集(8C後)一七・四〇一九)
- 「そのままに、八月廿余(よ)日までみえず。きけば、れいの所にしげくなんときく」(出典:蜻蛉日記(974頃)下)
- ④ あまり多くてわずらわしい。うるさい。くだくだしい。他の人が見、聞き、話すことのわずらわしさをいとう気持にいう。
- [初出の実例]「人言の繁(しげき)時には吾妹子し衣(ころも)にありせば下に着ましを」(出典:万葉集(8C後)一二・二八五二)
- 「人目しげからむ所に、びんなき振舞やあらはれむ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
- ⑤ 込みあっている。密集している。
- [初出の実例]「隣しげく、咎むる里人多く侍らんに」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕顔)
- 「人しげからむ時には、えまじらじ」(出典:法華修法一百座聞書抄(1110)三月四日)
繁しの派生語
しげ‐げ- 〘 形容動詞ナリ活用 〙
繁しの派生語
しげ‐さ- 〘 名詞 〙