置堀(読み)おいてきぼり

精選版 日本国語大辞典 「置堀」の意味・読み・例文・類語

おいてき‐ぼり【置堀】

  1. [ 1 ]おいてけぼり(置堀)[ 一 ]
    1. [初出の実例]「本所のおいてき堀や冬の月〈春菫〉」(出典:続春夏秋冬(1906‐07)〈河東碧梧桐選〉冬)
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙
    1. おいてけぼり(置堀)[ 二 ]
      1. [初出の実例]「早くしないと又置いてきぼりを食ふ恐れがある」(出典:坑夫(1908)〈夏目漱石〉)
    2. おいてけぼり(置堀)[ 二 ]
    3. おいてけぼり(置堀)[ 二 ]
      1. [初出の実例]「金五郎さん、見なさい、よっぽどな置(オ)いてき堀(ボリ)サ」(出典:歌舞伎・杜若艷色紫(1815)大切)

おいてけ‐ぼり【置堀】

  1. [ 1 ] 江戸本所(墨田区石原四丁目)にあった池の名。この池で釣をすると、水中から「置いてけ、置いてけ」と呼ぶ声がし、魚を全部返すまでこの声がやまないという。本所七不思議の一つ。おいてきぼり。
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙
    1. 後に残るものを見捨てて、立ち去ること。置き去りにすること。おいてきぼり。
      1. [初出の実例]「友達のうんつく奴等(めら)が、己を置いてけぼりにし居(を)ったが」(出典:黄表紙・亀山人家妖(1787))
    2. 品物を取り上げて、代金は支払わないこと。おいてきぼり。
      1. [初出の実例]「唐紙(たうし)も現金なら売ってやらうが、まづ置(オ)い往(テ)け堀(ボリ)なら御免だ」(出典:滑稽本・四十八癖(1812‐18)二)
    3. ( [ 一 ]の言い伝えからか ) 強情っぱりなこと。執念深いこと。また、その人。おいてきぼり。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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