置堀(読み)おいてけぼり

精選版 日本国語大辞典 「置堀」の意味・読み・例文・類語

おいてけ‐ぼり【置堀】

[1] 江戸本所(墨田区石原四丁目)にあった池の名。この池で釣をすると、水中から「置いてけ、置いてけ」と呼ぶ声がし、魚を全部返すまでこの声がやまないという。本所七不思議の一つ。おいてきぼり。
[2] 〘名〙
① 後に残るものを見捨てて、立ち去ること。置き去りにすること。おいてきぼり。
黄表紙・亀山人家妖(1787)「友達のうんつく奴等(めら)が、己を置いてけぼりにし居(を)ったが」
品物を取り上げて、代金は支払わないこと。おいてきぼり。
滑稽本・四十八癖(1812‐18)二「唐紙(たうし)も現金なら売ってやらうが、まづ置(オ)い往(テ)け堀(ボリ)なら御免だ」
③ ((一)の言い伝えからか) 強情っぱりなこと。執念深いこと。また、その人。おいてきぼり。

おいてき‐ぼり【置堀】

※続春夏秋冬(1906‐07)〈河東碧梧桐選〉冬「本所のおいてき堀や冬の月〈春菫〉」
[2] 〘名〙
坑夫(1908)〈夏目漱石〉「早くしないと又置いてきぼりを食ふ恐れがある」
※歌舞伎・杜若艷色紫(1815)大切「金五郎さん、見なさい、よっぽどな置(オ)いてき堀(ボリ)サ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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