改訂新版 世界大百科事典 「聖マルティン祭」の意味・わかりやすい解説
聖マルティン祭 (せいマルティンさい)
Martinmas
キリスト教の聖人マルティヌスを記念するローマ・カトリック教会の祝日。11月11日。マルティヌスはガリアに最初の修道院を建て,やがてトゥールの司教となったが,修道生活を捨てず,多くの弟子を育て,布教に貢献した。彼がローマの軍人としてアミアンの軍隊にいたころ,厳冬のある日,裸同然の乞食に自分のマントの半分を切って与えたところ,次の夜,キリストがこの半分のマントを着て夢に現れたという逸話から,この光景によってマルティヌスを描く場合が多い。また,彼は初めて農村伝道を行ったといわれる。聖マルティン祭の日は農繁期を終えた農民の休日で,家畜の大市がたち,冬の準備を始める日となっている。教会は異教時代の祭日の前後に新しい祝日を定めたが,この祝日も今日一般にハローウィーンとよばれる祭りと関係があると思われる。
執筆者:三好 洋子
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