日本大百科全書(ニッポニカ) 「アミアン」の意味・わかりやすい解説
アミアン
あみあん
Amiens
フランス北東部、ソンム県の県都。人口13万5501(1999)、13万2874(2015センサス)。パリの北132キロメートル、パリとフランス北部地方の中間にあり、古くからピカルディー地方の中心で、ソンム川に沿う。県庁、控訴院が存在することから行政都市としての性格が強く、司教区があることから宗教関係の諸施設も多い。大学が創設されて第三次産業機能も充実している。織物・衣料工業(ビロード、綿、絹、羊毛、麻、既製服、靴下など)は中世からの特産品であり、機械、電気器具、タイヤ、食料品、印刷、染物の各工業も加わって工業業種が多様化し、工業化が人口増加を引き起こした。農産物の集産地であり、旧市街地がソンム川の七つの支流にまたがっているので、野菜の水上市が開かれる。
ローマ時代からこの地域の中心地で、12世紀末にはフランス王の王領、15世紀にはブルゴーニュ家の領土ともなった。16世紀末に一時スペイン領になったが、アンリ4世により奪還された。1802年、ナポレオンとイギリス軍との平和条約がここで結ばれた(アミアンの和約)。第一次、第二次世界大戦により市街地は破壊を受けた。旧市街地の中心にあるアミアン大聖堂は、フランスで最大規模のもっとも優れたゴシック建築(13世紀)の一つとして知られる。
[高橋伸夫]