肺梗塞(読み)はいこうそく(その他表記)pulmonary infarct

改訂新版 世界大百科事典 「肺梗塞」の意味・わかりやすい解説

肺梗塞 (はいこうそく)
pulmonary infarct

肺でみられる梗塞。静脈血にできた血栓,腫瘍細胞,空気,脂肪などが肺に流れてきて,肺動脈にひっかかった場合が肺塞栓pulmonary embolismであり,その結果,その肺動脈分布領域に出血性壊死を起こした場合が肺梗塞である。肺梗塞は肺塞栓例の50~60%に起こり,心不全がある場合には約90%と高率に発生する。症状は閉塞血管の大きさにより異なり,無症状から,胸痛,血痰,発熱,呼吸困難,さらにはショックまで種々の程度にわたる。胸部X線写真では,横隔膜または胸膜面に底辺を有し,先端を肺門に向ける三角形を示し,心電図上はSIQⅢパターンなど急性右心負荷所見を呈する。血液検査では,血沈促進,白血球増加がみられ,しばしば血清ビリルビン値の軽度の上昇,LDH値上昇がみられる。治療としては,胸痛,呼吸困難に対してはモルヒネ剤,酸素投与を行い,肺塞栓に対しては抗凝固薬(ヘパリン),血栓溶解薬(ウロキナーゼなど)が用いられる。外科的手術として血栓摘出術が行われる場合もあるが,成功率は高くない。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「肺梗塞」の意味・わかりやすい解説

肺梗塞
はいこうそく

肺塞栓症」のページをご覧ください。

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