梗塞(読み)コウソク(その他表記)infarct

翻訳|infarct

デジタル大辞泉 「梗塞」の意味・読み・例文・類語

こう‐そく〔カウ‐〕【梗塞】

[名](スル)
ふさがって通じないこと。
知識―して益愚なる者多し」〈岡部啓五郎・開化評林〉
動脈がふさがれて、その先の組織壊死えしを生じた状態心筋梗塞など。

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精選版 日本国語大辞典 「梗塞」の意味・読み・例文・類語

こう‐そくカウ‥【梗塞】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「梗」「塞」ともにふさがるの意 )
  2. ふさがること。つまって通じないこと。
    1. [初出の実例]「運路梗塞不望、馬肉方寸日充糧」(出典:山陽詩鈔(1833)三・仏郎王歌)
  3. 他の動脈あるいは神経と互いに連絡しあう道のない動脈が突然、しかも永久的に閉塞されたときに、その動脈流域下の組織に起こる壊死(えし)状態。「心筋梗塞」

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改訂新版 世界大百科事典 「梗塞」の意味・わかりやすい解説

梗塞 (こうそく)
infarct

一般には,吻合(ふんごう)枝をもたず毛細血管に移行する終動脈が急激に閉塞されたときに,その動脈の灌流領域(下流の領域)におこる壊死をいう。壊死巣の形は特有で,血管の支配領域に一致し,閉塞された動脈部分を頂点とした円錐形を呈し,その底面はその臓器の表面に向かう。割面では楔形を呈する。動脈の閉塞は塞栓血栓によることが多い。梗塞には貧血性(白色)梗塞white infarctと出血性(赤色)梗塞red infarctとがある。貧血性梗塞は,腎臓脾臓,脳,心臓などでみられる。貧血性梗塞に陥った部分は貧血性となり,しだいに凝固壊死となり,白色または多少黄みを帯びた白色,不透明,もろくなって容積硬度を増す。時間の経過とともに壊死部と周囲組織との境界は明りょうとなり,さらに時間が経過すると非壊死部から肉芽組織が生じ,壊死部はしだいに肉芽組織でおきかえられ(これを器質化organisationという),最後は瘢痕はんこん)となる。腎臓,脾臓,心臓ではこのような瘢痕を形成するが,脳では壊死に陥った組織は軟化し囊胞化する。出血性梗塞は,形や硬さなどは貧血性梗塞と同様であるが,梗塞部位は出血のため赤色を呈する。出血性梗塞は,主として肺にみられるが,まれに腸,睾丸などでみられることもある。出血性梗塞がおこるためには,動脈の閉塞以外に高度の鬱血(うつけつ)や血管壁のなんらかの障害が必要である。肺の場合には,おもな原因は肺動脈の閉塞であるが,それ以外に,血管の障害または肺静脈圧の上昇による鬱血と毛細血管の透過性の亢進が必要である。左心不全により肺に高度の鬱血があるときに肺動脈に閉塞がおこると肺に出血性梗塞がおこる。そのほか特殊なものとして,出血性梗塞に似た鬱血性梗塞がある。この場合,動脈には障害はなく,静脈の閉鎖のため高度の鬱血により出血をおこしたもので,肺,脾臓,腸などでみられる。また肝臓の萎縮性赤色梗塞は門脈枝が閉塞しておこるもので,肝細胞は肝動脈および肝静脈からの血流により壊死にはならないが,萎縮・変性し赤色になり楔形に陥凹する。心臓および脳の梗塞は高年者の死因の重要なものの一つである。
循環障害
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普及版 字通 「梗塞」の読み・字形・画数・意味

【梗塞】こう(かう)そく

ふさぐ。宋・葉適〔兵部尚書公墓誌銘〕韓冑、死す。餘黨ほ正路を梗塞す。一たびし、尤も衆(おほ)し。(かな)ふと號す。

字通「梗」の項目を見る

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「梗塞」の意味・わかりやすい解説

梗塞
こうそく

硬塞とも書き、おもに互いに連絡する吻合枝(ふんごうし)をもたない終末動脈が急に閉塞され、その動脈が支配する末梢(まっしょう)流域の組織に血行障害をおこして限局性の壊死(えし)がみられるものをいう。

 血管の閉鎖は一般に塞栓や血栓によることが多い。この場合における壊死巣の形は特有で、血管の支配領域に一致し、閉塞された動脈部を頂点とした円錐(えんすい)形で、その底面は臓器の表面に向かう場合が多い。

 組織の血行障害によって虚血性壊死に陥るため、貧血性で白色を呈することが多く、貧血性梗塞または白色梗塞とよばれる。腎臓(じんぞう)、脾臓(ひぞう)、心臓、脳などにみられ、とくに冠状動脈にみられる梗塞、すなわち心筋梗塞や脳梗塞は重篤な症状を呈し、ときに致命的となる。また、うっ血や血管壁の障害を伴い出血性変化が加わり、赤色を呈するものは出血性梗塞または赤色梗塞とよばれ、おもに肺にみられる。

[竹内慶治]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「梗塞」の意味・わかりやすい解説

梗塞
こうそく
infarct; infarction

循環障害によって起こる限局性の虚血性壊死のこと。大きな吻合枝 (ふんごうし) をもたない終動脈,または吻合枝があっても機能的代償が行なわれない機能的終動脈が閉塞された場合,その動脈の支配領域の組織は酸素欠乏のために壊死に陥る。原因は血栓や塞栓によるものが多い。多くは血流を絶たれる貧血性梗塞で,心筋梗塞や脳梗塞 (脳軟化症 ) はこれにあたる。一方,出血性梗塞を示すこともあり,これは肺に多い。また腸,卵巣,精巣などの軸捻転による血流途絶で起こる梗塞もときにみられる。

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百科事典マイペディア 「梗塞」の意味・わかりやすい解説

梗塞【こうそく】

他に養う血管をもたない臓器の小動脈(終動脈という)が血栓(けっせん)や脂肪滴,ガス,虫卵などで,急にかつ永久的に閉ざされた時,その血管流域下の組織に起こる壊死(えし)をいう。肉眼的に白く見える貧血性梗塞と,出血を伴い赤く見える出血性梗塞とがある。前者は脾(ひ),腎(じん),心筋,脳に多く,後者は肺に多い。脳以外の梗塞部は時とともに瘢痕(はんこん)となるが,まれに化膿(かのう)性梗塞となる。
→関連項目SPECT

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栄養・生化学辞典 「梗塞」の解説

梗塞

 動脈硬化により血管に血液が通りにくくなりその血管が養う組織が障害を受けること.

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